産廃不法投棄、栃木県が行政代執行を開始 県内12市町、本年度は400立方メートル処分

産廃が入ったドラム缶を大型トラックに載せる作業員=30日午前、市貝町市塙

 栃木県内12市町に有害物質を含む産業廃棄物が不法投棄された問題で、県は30日、不法投棄者に代わり処分を行う行政代執行を開始した。各市町に仮置きしていた計約1900立方メートルのうち、本年度は約400立方メートルを市貝町市塙の県有地に集積し、県外の焼却施設に持ち込む。

 不法投棄されたのはポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む廃プラスチック類など。この日の作業では、飛散防止のため袋に詰められていた産廃をドラム缶に移し替え、大型トラックの荷台に積み込んだ。初日はドラム缶60本(約12立方メートル)を搬出した。

 不法投棄事件は2019年8月~21年2月、本県など3県で発生。廃棄物処理法違反で起訴された宇都宮市、解体業の男(56)は有罪判決を受けている。県が撤去するよう命令を出したが従わず、代執行に踏み切ることになった。

 代執行は3カ年計画で、費用は初年度が2億円、全体で計10億円程度にまで膨らむ可能性があるという。7割は産業廃棄物処理事業振興財団の支援制度で助成され、残りは公費で賄われる見通し。県などは不法投棄者に求償するが、全額回収は困難とみている。

© 株式会社下野新聞社