福井市長選挙の演説会に市職員動員、市企業管理者を書類送検 福井県警、公選法違反疑い

福井市役所=福井県福井市大手3丁目

 昨年12月の福井県福井市長選挙を巡り、初当選した西行茂氏(69)の個人演説会などに市職員を動員したとして、福井県警が公選法違反(公務員の地位利用)の疑いで同市企業局の前田和宏企業管理者(63)と支援者の男性の計2人を書類送検したことが1月30日、関係者への取材で分かった。

 関係者によると、2人は選挙期間中、西行氏の個人演説会や出陣式などについて、前田企業管理者の部下である複数の市職員に参加を働きかけたという。動員をかけた際に配ったチラシなどが見つかっている。公選法は公務員が地位を利用して投票の周旋勧誘をすることなどを禁じている。支援者は公務員ではないが、共謀関係にあったとみられる。

 企業局や総務部の管理職ら二十数人が昨年12月中旬から下旬にかけ、県警から事情を聴かれたもよう。前田企業管理者は福井新聞の取材に対し「捜査中のため、今はコメントを差し控えさせてほしい」と話した。

 企業管理者は市長が任命する特別職。上下水道事業などを所管する市企業局のトップで、市全体でも市長、副市長に次ぐ地位にある。昨年の市長選では、西行氏が出馬に伴い副市長を辞職したため、前田企業管理者は東村新一市長に次ぐナンバー2のポジションにあった。

 前田企業管理者は1983年に福井市職員となり、農林水産部長や総務部長を経て、2020年8月から現職。

 任期満了に伴う福井市長選挙は、昨年12月10日に投開票され、前副市長の西行氏が元福井県議の候補との新人同士の一騎打ちを2323票で制して初当選した。

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