寒さが育む、伝統の味 山形・寒ざらし用ソバの実引き揚げ

10日間ほど沢水に漬かった玄ソバを引き揚げる組合員たち=山形市上宝沢

 山形市内のそば店などでつくる山形麺類食堂協同組合(寺崎利彦理事長)が30日、同市上宝沢の不動沢で、名物「山めん寒ざらしそば」に使うため沢水に浸していた玄ソバ(ソバの実)を引き揚げた。伝統の味を引き出そうと、水温1~2度ほどの中で胴長姿の組合員たちが作業に取り組んだ。

 江戸時代に信州から将軍家に献上されたという、そば作りの技法を再現。今月19日に同市産「でわかおり」約3トン(3万食分)を袋に分け入れて沢水に浸した。

 引き揚げ作業には組合員25人ほどが参加した。水を吸って2倍ほどの重さになった袋をネットに入れ、次々とクレーンで引き揚げた。玄ソバは今後1カ月ほど同市西蔵王高原などで寒風にさらす。これらの工程により、雑味が抜け、甘みが出るという。寺崎理事長は「お待ちいただいている方の期待に応えられるような、おいしいそばにしていきたい」と話した。

 そばは4月上旬から市内約30店舗で提供する。

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