優先は「病院開院」 順天堂大、さいたまの新病院・医師派遣巡り 医師・看護師の「県内引き抜きはしない」

順天堂大学医学部付属病院の整備予定地=2021年、埼玉県さいたま市緑区

 埼玉県さいたま市浦和美園地区の順天堂大学付属病院計画を巡り、学校法人順天堂の関係者が30日、「(県医療審議会で県内医師不足地域への派遣人数が)少ないとの意見があることは聞いている。やはり病院が開院でき、(派遣への)基地ができることが一番優先と考えている」と話した。

 この日は埼玉高速鉄道本社(浦和美園駅)で「順天堂大学病院出院を歓迎する会」が開催され、順天堂の大学キャンパス・ホスピタル再編事業事務局の小林忠彦事務局長らが出席。会の終了後、小林事務局長は報道陣の取材に「(新病院に)県内の医師や看護師を引き抜きはしない」と、県内からの応募は原則受けない考えを示した。

 2021年の開院を目指した当初の計画からの遅れについては「新型コロナウイルスの発生が致命的だった。周辺の道路の関係(の課題)もあった」とし、県が2分の1を上限に負担する整備費用に関しては「(県税投入で注目が集まることは)重々承知しており、慎重に対応したい」としたが、整備額の詳細や公表時期については回答を避けた。

 会では、代表を務める積田冷熱工事の積田鉄也代表が「将来性の高い浦和美園に順天堂が出院すれば人の流れが変わる」と活性化に期待を示した。県保健医療部の三田一夫政策参与は県北地域での救急搬送困難事案を受け、「医師確保困難地域への医師派遣に積極的であることを要件に公募を実施した」などと経緯を説明。土地買収などの取り組みを振り返り、「関係者の中には他界した人もいる。一日も早く報告し喜んでもらいたい」と述べた。

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