簗氏、924万円受領 安倍派裏金、異なる記載を訂正

自民党安倍派の議員総会に臨む簗氏=1月19日、東京・永田町の党本部

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、安倍派(清和政策研究会)の簗和生(やなかずお)衆院議員が2020~22年の3年間で派閥側から計924万円を受領し、実態と異なる形で政治資金収支報告書に記載していたことが31日、分かった。簗氏は同日、報告書の訂正を県選挙管理委員会に届け出た。

 訂正額は20年が443万円、21年が421万円、22年が60万円。簗氏は派閥から受領した額を、自身が代表を務める「自由民主党栃木県第三選挙区支部」に個人名義で寄付していた。報告書は、本人としていた寄付者を「清和政策研究会」へ訂正した。収入と支出の総額に変更はなかった。

 簗氏はこれまで「同会で適正な処理がなされているとの認識の下で受領した。全額を正当な政治活動に充て、使途は国民にオープンにしており、裏金と言われるものは一切ない」とコメントを出している。

 政治資金規正法が義務付ける報告書の保管期間は3年間だが、不記載罪などの公訴時効は5年。下野新聞社は31日、改めて簗氏に対して18、19年分の受領額や、還流を受け始めた時期、還流に関する派閥側の説明・指示と違法性の認識、個人名義で処理したことへの問題意識などを文書で尋ねたが、期限までに回答はなかった。

 一方、安倍派の上野通子(うえのみちこ)参院議員も報告書を訂正した。直近3年間の不記載額は、すでに公表している計188万円。上野氏は取材に「国民の政治不信を招き、清和会の1人としておわびする。それぞれのメンバーが還流を受けた事実を公表したことが、一つのけじめとなった」と述べた。

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