七尾に復興の足音 営業再開続々「日常を取り戻す」

営業を再開させた二穴さん夫婦=七尾市一本杉町

 約1万4千世帯で断水が続く七尾市で、営業を再開する店舗が目立ってきた。市外から湧き水を調達して料理を作ったり、使い捨て容器を使ったりして「水なし」に対応。建物の倒壊が目立つ一本杉通りにも理髪店のサインポールが回り、能登島では民宿に再び明かりがともり始めた。地震で壊れた道路の補修工事も着々と進み、かつての日常を取り戻そうとしている。

 市によると、1月29日までに飲食店約30店舗が営業を再開させた。食器が洗えないため、紙皿や紙コップを使う店が多いという。

 和倉町のうどん店「本さぬきうどん海よ友よ」は、断水が解消した地域の湧き水や水道水を1日100リットル以上調達している。

 一本杉通りでは創業80年の「二穴(ふたあな)理容室」が営業を再開した。店舗は「要注意」の黄色の紙が貼られたが、再開を望む地域の声に背中を押された。

 地震でシャンプー台3基が壊れ、理容器具が散らばった床は足の踏み場がない状態だった。当面はカットのみのサービスだが、店主の二穴健さん(69)と重美さん(64)夫婦は「日常を取り戻せるように踏ん張る」とはさみを握る。

 1日に営業を再開したのは能登島向田町の創業134年の老舗「さわだ旅館」。壁が崩落するなどの被害が出たが、片付けが進み寝泊まりできる部屋を確保できた。地下水が使えることで入浴や料理の提供も可能になった。当面は能登の復興に携わる業者らの宿泊場所として利用してもらう。

 店主の澤田広一さん(54)は「復興に関わる工事関係者らに利用してもらいたい」と再開への思いを語った。能登島観光協会も島内で宿泊可能な施設を案内している。

うどんを提供する店主=七尾市和倉町

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