大分トリニータ 宮崎キャンプで見えた新スタイル 片野坂流は「攻守連動」と「アグレッシブ」 【大分県】

7日間の宮崎キャンプを終了した大分トリニータ。片野坂知宏監督が一貫して選手に求めてきたのが「チャレンジ」だった。1月8日に始動して以降、「応援してくる方が熱狂するフットボールをしたい。攻守を分けずに切れ目のないシームレスなフットボールを目指す」と繰り返し、その理念に基づいてチームづくりを進めてきた。

今季は、攻撃でも守備でも、能動的な姿勢が求められている。「シームレス」という発想は、その第一歩といえる。高い位置でボールを奪い、そのまま攻撃に移る術を模索してきた。ボール保持者に対して必ずプレッシャーをかけることで、チャンスの数を増やそうという狙いだ。絶えず前線からプレッシャーをかけるのが基本で、相手にボールを持たせる時間を極力与えない。攻撃から守備の切り替えが遅れてはいけない。狙いとする守備の意識は高まっている。キャプテンの渡辺新太は「守備のときは、昨年よりボールに厳しく行く。だから最初の守備がより重要になるし、2人目、3人目と連動しなければいけないが、現時点ではまだまだ。全員が同じ距離を走らなければいけないので、1人でも動かないと成立しない」と話す。課題を消化中だが、徐々に連係できるようになってきたと感じている。

シームレスなフットボールを目指し、課題を消化中だという渡辺新太

ボールを奪い、保持してからも同様である。ボールを置く位置ひとつにしても、横や後ろではなく、前を向くための意識づけが徹底されてきた。それだけに消極的なプレーには片野坂監督から厳しい口調で指示が飛んだ。このテンポアップによって、小さなミスやボールを失う場面は増えている。片野坂監督はプレー精度を上げるために、1人1人にボールを呼び込む予備動作を要求するなど、注文をつけている。

始動から3週間余りが経過し、意識づけから次のステップへ進もうとしている。つまり実戦で表現できるかどうか。宮崎キャンプではJ1の横浜Fマリノス、サンフレッチェ広島と対戦し、課題が浮き彫りになった。片野坂監督は「今は結果でなく、チャレンジして得られることの方が大きい。(格上相手に)腰の引けた部分があったのは残念。スキル、戦術の部分で、まだまだ個人の能力を上げて、戦い方を合わせないといけない」と分析。試合中はせわしない時間帯が続いている。コンセプトがスタイルとして根付くまでには、もうしばらく時間と辛抱が必要だろう。

キャンプでは選手にチャレンジすることを求めた片野坂知宏監督

(柚野真也)

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