「能登を助けて」被災県議、涙で訴え 地震後初の常任委

早期の復旧策の実行を求める宮下県議(写真中央)=県議会

 能登半島地震発生後、初の県議会常任委員会となる環境農林建設委が2日開かれ、被災した奥能登選出の県議らが道路、水道の復旧、仮設住宅建設、災害ごみ処理など山積する課題について県の対応をただした。「少しでも現場を見て能登を助けてほしい」「被災者は『おらっちゃはいつ戻れるのか』と聞いている」。県議の涙混じりの訴えに、県側は国や市町と連携し、復旧を進めるとした。

 「能登を巡る国道249号は今、至難の道や」

 輪島市選挙区選出の宮下正博氏(自民)は、同市内の輪島、門前両地区を結ぶ各道路で複数の土砂崩れが起き、穴水経由でしか往来ができない現状を取り上げ、早期の道路確保(啓開)を求めた。これに対し、県側は市道や林道を活用して啓開に当たり、重機の投入も進んでいるとして理解を求めた。

  ●農家、給料払えず

 能登の住民の1割がなりわいとする農林水産業の苦境を取り上げたのは、珠洲市鳳珠郡選挙区選出の堂前利昭氏(同)。「営農できず、従業員に給料を払うお金がない農家がいる」と、声を詰まらせながら訴えた。水道復旧についても「3月末という県の見込みを住民は望みとしている。本当に来るのか」と迫った。

 宮下、堂前両氏は輪島港や宇出津港、小木港の損壊にも触れ、早期の復旧を要望。県側は、輪島港からの漁船避難に向けて県漁協と連携していると説明したほか、宇出津港の陥没箇所の修繕を週明けから始め、小木港も中型イカ釣り船の漁期に間に合うよう対策に取り組むとした。

 両氏の訴えに同調するように、他の県議も復旧復興の加速を求めた。

 米澤賢司氏(同)は、災害ごみの処理に関し「各市町は手一杯。推定量の把握などは県がまとめて行うべきだ」とし、県が先頭に立って処理計画を立案するよう呼び掛けた。

 室谷弘幸氏(同)は、今月1日付の北國新聞朝刊を引き合いに「被災者の67%が再び自宅に住むことを望んでいる。住居政策がしっかりしないと、被災者は能登に戻れない」とし、仮設住宅の早期設置を要請した。佐藤正幸氏(共産)は2次避難所となっているホテルや旅館で食事に格差が生じているとし、改善を要望した。

 県側は、地震関連の消費生活相談が県と市町で計183件あり、このうちブルーシートの設置や屋根の修理に関するトラブルが62件、保険に関するトラブルが16件だったと報告。金沢競馬場は地盤沈下や亀裂の修繕を進めており、本場開催は当初の予定通り3月10日とした。

  ●農水被害1602カ所

 農林水産関係の被害は1日時点で1602カ所とした。分野別では農業関連1105カ所、水産関連329カ所、森林関連144カ所で、奥能登4市町の調査が進めば、さらに増える見通し。奥能登の下水道の管路は点検済みの370キロのうち68%が被災していた。

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