倉破損、山車準備できず 5月の伏木曳山祭、開催危機

山倉や山車の点検を行う業者や住民=高岡市伏木本町

  ●住宅や道路も被害大 実行委、可否を協議

 能登半島地震を受け、毎年5月に高岡市伏木地区で行われる伏木曳山祭(ひきやままつり)が予定通り実施できるか、地元関係者が気をもんでいる。例年であれば山車(やま)の組み立てに取り掛かる時期だが、作業を行う山倉が破損し、着手できていない。伏木地区は住宅や道路が大きな被害を受けており、実行委員会と山車を所有する山町は「けんか山」として親しまれる祭りの開催の可否について協議を進める。

 3日は7基ある山車のうち、6基が収められている伏木本町の山倉で、地元の依頼を受けた塩谷建設(高岡市)の従業員が破損の状況を調査。山車に目立った被害はなかったが、山倉には施錠用の金具の折れや歪曲、扉の不具合など約30カ所の破損が見つかった。

 先月26日には残る1基の山車が収められた十七軒町の山倉の点検を行い、こちらは被害は無かった。祭の継承を担う伏木曳山保存会は山倉の損壊状況をまとめ、修理を進める。

 伏木地区では液状化現象で道路の陥没やひびわれ、隆起、電柱の沈下が多発し、復旧が進められている。実行委の針山健史会長は「山車を保有する山町の意見と復旧の状況、地域の思いを総合的に判断したい」と語った。

 今年の当番町である「本町」の脇田歩総々代は、「伏木の復興のためにも、ぜひとも祭りをやりたいが、関係者の考えをしっかり聞き、慎重に協議したい」と話した。

 伏木曳山祭は伏木神社の春季例大祭で、5月第3金、土曜に開催される。昼には花傘をつけた全7基の花山車がまちなかを巡行する。夜は6基の山車が提灯(ちょうちん)をつけ、重さ8トンの山車同士をぶつけ合う名物の「かっちゃ」を繰り広げる。

 従来は5月15日に開催されていたが、2022年から週末の日程に変更した。昨年は新型コロナの5類移行も相まって、来場者は約13万人とコロナ前の19年を上回った。

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