藤井八冠、公式戦初の“引き分け” 富山県魚津市で棋王戦第1局、伊藤七段と対局

持将棋(引き分け)となり、対局を振り返る藤井棋王(左)と伊藤七段=新川文化ホール

 将棋の藤井聡太棋王(21)=竜王・名人・王位・叡王・王座・王将・棋聖との八冠=に伊藤匠七段(21)が挑むタイトル戦、第49期棋王戦コナミグループ杯(北日本新聞社など主催、協賛社・大塚製薬)の5番勝負第1局は4日、富山県魚津市の新川文化ホールで指され、129手までで持将棋(じしょうぎ)(引き分け)となった。公式戦で藤井棋王の持将棋は初めて。北日本新聞創刊140周年記念事業。

 対局は、初防衛を狙う藤井棋王の先手番で午前9時にスタート。中盤まで速いペースで進んだが、互いの玉が敵陣に入って捕まらなくなったため、午後5時35分、持将棋が成立した。タイトル戦での持将棋は2020年の叡王戦7番勝負以来で、棋王戦では1987年の第13期以来2度目となる。

 終局後、藤井棋王は「(相手に)手厚い陣形をつくられてしまった。もう少し深い認識が必要だった」と振り返り、伊藤七段は「(持将棋は)用意していた作戦。神経を使いながらの展開だった」と述べた。

 県内での棋王戦は5年ぶり。立会人は森内俊之九段が務め、蒲地北日本新聞社長、村椿晃魚津市長、日本将棋連盟常務理事の西尾明七段らも見守った。持ち時間各4時間のうち、残りは藤井棋王38分、伊藤七段1時間4分。

 新川文化ホールでは大盤解説会も開かれ、村田顕弘六段(37)=魚津市出身、服部慎一郎六段(24)=富山市出身、野原未蘭女流初段(20)=同=が戦況を解説した。指導対局もあった。

 藤井棋王は昨年10月、史上初の全八冠を独占。並行して開催されている王将戦7番勝負(藤井王将の3勝0敗)とともに全冠維持を目指している。

 棋王戦5番勝負は先に3勝した方が棋王を得る。第1局が持将棋になったことで、5番勝負は最大第6局まで開催する。第2局は24日、金沢市で行われる。

◆持将棋◆ 双方の玉が敵陣に入り、玉を捕まえる見込みがなくなった状態で、互いに規定の駒の合計点数を保持した場合は引き分けとなる。プロの将棋で玉を除いた駒(盤上・持ち駒とも)のうち、大駒の飛車と角を5点、その他の駒を1点とし、両者ともそれぞれ24点以上あれば引き分け、どちらかが24点に満たなければ負けとなる。

棋王戦第1局の棋譜はこちら

感想戦で対局を振り返る藤井棋王(右)と伊藤七段
藤井棋王(手前右)と挑戦者の伊藤七段の対局を見学する子どもたち(奥)
先手で駒を進める藤井棋王(手前右)と、挑戦者の伊藤七段。立会人の森内九段(奥右から3人目)らが見守った

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