輪島でバス運行再開 路線バス利用ゼロも「走る姿に意味」

運転を再開した路線バス=5日午前8時15分、輪島市門前町

 輪島市で5日、被災者の通院や買い物を支援するため無料の巡回バスの運行が始まった。能登半島地震で自家用車が使えなくなった人や車を持たない人向けで、5ルートある。同日、輪島―穴水、門前―穴水の路線バスも再開し、地震前の日常生活を少しずつ取り戻す動きが加速してきた。

 名古屋市内の女性(67)は、母親と妹夫婦が避難する輪島市鵠巣小から市中心部の「きらめき橋」まで巡回無料バスを利用した。「被災者の手を借りなくてもいいので、とても助かる」と話した。

 無料巡回バスの運行ダイヤは各ルートとも午前8時台、午後1時台、同3時台で、平日のみ運行する。いずれのルートも市立輪島病院を発着する。河井方面は輪島中、輪島高、市役所などを通る。鵠巣方面は鵠巣小、マリンタウン、大屋方面は大屋小、大屋公民館、気勝平集会所などを回る。河原田方面は河原田小にのみ停車、鳳至・輪島崎方面は鳳至小や合同庁舎、市役所などに止まる。

 路線バスは北鉄奥能登バスが運行する。道の駅輪島「ふらっと訪夢」―穴水総合病院間の「穴水輪島線」が午前8時、同10時、午後1時、同3時発で、門前總持寺祖院前―穴水総合病院間の「穴水線」が午前9時半、午後2時半門前発で、午前7時半と午後0時半に穴水総合病院を出発する。

 門前発の午前10時の便は乗客がいなかった。運転した横山総彦さん(50)は「地震前は5、6人の利用があった。初日なので走っている姿を見せるだけでも意味がある」と話した。

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