あんぽ柿 中国に販路 南砺の富山干柿出荷組合連合会、富裕層照準に輸出を試行

あんぽ柿と富山干柿を中国語で紹介するパンフレットを手にする藤井会長=南砺市高宮

 富山干柿出荷組合連合会(南砺市高宮・福光、藤井敏一会長)は、南砺市特産の「あんぽ柿」を、香港を経由して中国本土に輸出するテスト販売を行っている。既に100箱を出荷済みで、実績のある台湾やカナダに続き、中国人の富裕層をターゲットに販路拡大を目指す。円安傾向も追い風に、輸出額1億円超えを目標にしている。

 あんぽ柿は、干し柿より水分が多く、オレンジ色の果肉とゼリーのような食感が特長。連合会の加工センターから出荷されるあんぽ柿は、食品衛生管理の国際基準HACCP(ハサップ)の認定を受けており、輸出の際の強みになっている。

 連合会はまず、干し柿を食べる文化がある台湾に注着目し、あんぽ柿と富山干柿を輸出。売り上げは2020年が3450万円、21年が5800万円、22年が7700万円と順調に伸びている。

 さらなる市場拡大に向けて選んだのがカナダ。香港が中国に返還された際に富裕層が移り住んだ「チャイナタウン」が存在し、需要があると判断した。県や日本貿易振興機構(ジェトロ)の助言を受けてあんぽ柿を輸出している。

 連合会では、巨大な市場規模を持つ中国本土への輸出も計画。しかし商品表示や通関などの課題やリスクがあり、なかなか踏み込めずにいた。そこで目を付けたのが香港。香港の商社に取り扱ってもらうことで、本土への販売に道筋が付いたという。

 連合会では輸出用に中国語と英語、日本語であんぽ柿と富山干柿を紹介するパンフレットを作成しており、さらに輸出先を増やしていきたい考えだ。藤井会長は「タイやシンガポール、マレーシアなどの東南アジアもターゲットにしていきたい」と先を見据えている。

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