豊後大野市の後藤さん、全日本剣道連盟の功労賞 県内2人目、普及や発展に尽力【大分県】

全日本剣道連盟の本年度功労賞を受賞した後藤清光さん=豊後大野市三重町内田

 【豊後大野】元全日本剣道連盟常任理事の後藤清光さん(84)=豊後大野市三重町内田・範士8段=が同連盟の本年度功労賞を受けた。人格に優れ、長年にわたって剣道の普及や発展に尽くした人に贈られる剣道界最高の栄誉とされる賞。同連盟によると1995年度に創設して以降、計101人が受賞しており、県内からは2010年度以来、2人目。

 東京生まれ、臼杵市野津町育ちで、高校時代に豊後大野市三重町に移った。剣道を始めたのは竹田商業高2年生のころ。担任だった剣道部監督に誘われ、珠算部をやめて入部した。だが「稽古はきついし、たたかれて痛い。最初はいつやめようかと考えていた」。

 高校を卒業し、1958年に皇宮警察本部に入った。天皇陛下ら皇族の護衛といった業務の傍ら、剣道に打ち込み、「負けたくない気持ちが強く、とにかく一生懸命練習した」。28歳で7段に昇段。全国警察剣道大会では中心選手として何度も団体優勝を勝ち取った。

 選手生活の後は指導者の道へ。87年に警察大学校術科教養部教授、98年に主任教授、2000年に教養部長として各県警指導者らの育成に尽力。御前試合の審判をしたこともある。1991年に8段、99年に範士に合格した。

 退職し、三重町に戻った後も同連盟の常任理事などを歴任。強化委員長として世界選手権の日本チーム監督を務め、試合・審判委員時代は規則改正などに携わった。現在も8段審査会の審査員を任される。

 同町では20年以上前から毎週火曜の夜に稽古会を開催。後藤さんに指導をしてもらおうと、県内外から多くの剣士が訪れる。これまで稽古をつけたうちの10人近くが、合格率1%未満の8段に受かったという。

 後藤さんは「これまでの活動を認めていただきありがたい。教え子が力を付け、立派な剣士として育つようにこれからも努めたい」と話した。

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