県警、部門横断チーム「Σ(シグマ)」発足 組織犯罪摘発へ総力戦

組織犯罪の撲滅を目指す県警のプロジェクトチーム「Σ」の発足式=県警本部

 特殊詐欺(うそ電話詐欺)や広域強盗で「闇バイト」を募るなどし、犯行を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ」の犯罪抑止と組織解体を目指し、県警は5日、各分野の捜査部門を横断したプロジェクトチーム「Σ」を発足させた。組織犯罪を本県で認知した場合、情報や手法など県警の捜査力を結集して摘発につなげる。

 Σはギリシャ文字で、数学では「総和」や「全てを足す」の意味。県民の安全安心を守るため、県警の総力戦で組織犯罪に対処するという意思を込めた。これまでも部署をまたいで情報を共有してきたが、縦割りなどの捜査手法から脱却する狙いがある。

 県警本部で同日、発足式が行われた。鈴木邦夫本部長が訓示し、Σの使命として▽組織の実態解明▽組織の上位者・実行犯の徹底摘発▽犯罪収益の収奪―を挙げ「山形県警の総合力をもって組織犯罪に対処しなければならない。皆さんの知恵と力をこのプロジェクトに結集してほしい」と力を込めた。

 特殊詐欺や広域強盗に手を染めていたとされる、「ルフィ」を指示役とする犯行グループは、拠点を海外に持ち、秘匿性の高い通信アプリで連絡を取るなどして組織の実態をつかめないようにしていた。

 本県では特殊詐欺被害が後を絶たない。実動部隊を送り込み、犯行後に首都圏などに戻らせる“ヒットアンドアウェー”を用いることが多く、摘発者は末端のケースが多い。県警はΣを積極的に活用し、指示役の摘発など組織の壊滅を目指す。

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