山頂で稚樹移植拡大へ 樹氷復活県民会議、子どもへの啓発強化を確認

稚樹の移植拡大をはじめ、2024年度の取り組みを確認した樹氷復活県民会議=県庁

 官民一体で蔵王の樹氷を形成するアオモリトドマツ林再生に取り組む「樹氷復活県民会議」は5日、県庁で開いた2023年度の初会合で、24年度、枯死被害が甚大な山頂付近での植栽活動を拡大する方針を示した。関係者約40人が出席。稚樹の移植や育苗、次代を担う子どもへの啓発強化などの取り組みも確認した。

 同会議は本年度、地元の児童などと協力し、標高約1400メートルのユートピアゲレンデ周辺に自生するアオモリトドマツの稚樹計24本を採取し、蔵王ロープウェイ地蔵山頂駅付近に移植した。同ゲレンデの県のほ場に種子800粒をまき、育苗を進めた。

 稚樹移植は24年度、山形新聞、山形放送の「みどりの学び 蔵王樹氷再生プロジェクト」での活動などを含めて、本年度の66本から100本に拡大を目指す。種子は昨年10月時点の生存率が約35%だった点を踏まえ、3倍の2400粒をまく計画。移植区画を広げるため、生育の妨げとなるとされるササの刈り取りに新たに取り組む。

 環境課題の解決に向けた機運醸成を図り、アオモリトドマツの生態を学ぶ小学生向けの体験学習を新たに企画する。特設ホームページでの情報発信、移植や募金などの協力企業・団体を認定する「樹氷復活サポーター制度」による啓発に引き続き取り組む。

 本年度の移植に参加した村山産業高校の2、3年生6人が、挿し木や種まきによるアオモリトドマツ増殖の可能性を探った研究成果を報告。「苗木の促成栽培に挑戦するなど進展させ、後輩たちに引き継ぎたい」と語った。会議の会長を務める吉村美栄子知事は「山形の宝である景観が復活するよう、連携を強めて息の長い取り組みにしていこう」とあいさつした。

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