ある女性からみる“恋愛の理想”を叶えながら交際を長続きさせるコツ

相手に対して「こうであってほしい」と願ったり、自分についても「こうあるべき」の理想を持ったりするのは、悪いこととは決していえません。

理想は目標であり、それがあるから自分の振る舞いを良いものにしようと考えられるのもたしかです。

恋愛でも、自分が持つ「理想」は幸せになるための指針になりますが、だからこそ「本当に叶うものかどうか」の意識も大切です。

恋愛が長続きする「理想」とは、どんなものなのでしょうか?

自分の希望が「理想」になる

「優しい人がいい」のような漠然とした思いから「毎日電話で話すことを嫌がらない人」という具体的な気持ちまで、お付き合いする相手に求める「理想」には自分の希望が反映されます。

そして、自分に向けても「相手の気持ちを尊重すること」「喧嘩になっても感情的にならないこと」など、こうあってほしいという希望がありますよね。

理想はどれも前向きな状態であって、それが叶う相手と自分を正解とするのは、恋愛に対して積極的に楽しみたい姿勢の現れといえます。

相手を見るとき、自分の持つ理想が叶うかどうかを知ろうとするのは間違った人を選んで失敗しないためで、理想があるから行動が決まるという人も多いもの。

過去に、相手のやり方に深い傷を負ったことで「それをしない人」を求めるという場合もあって、理想には自分を守る意識も含まれます。

反対に、希望や理想を持たないことで幅広い視野で相手を知ろうとする人もいて、その姿勢も型にはまった恋愛を避ける大切な気持ちといえます。

大切なのは、理想を持つこと自体を意識するのではなく、「自分はどんな恋愛をしたいのか」をきちんと理解する姿勢ではないでしょうか。

「出会った後」が続かない30代の女性のケース

33歳のある女性は、「結婚する前の恋愛関係で相性のいい人が正解」と考え、「自分と同じ正社員で安定した収入のある人」「落ち着いて会話のできる人」「喧嘩になったときに冷静に意見を言い合える人」と、いくつかの理想を手帳に書き出していました。

自分についても、「求める一方にならない」「自分の気持ちに素直になる」と「これまでの反省を活かす」ことを考えていたそうです。

友人の紹介や、健全な出会いを謳うマッチングアプリなども利用して男性との出会いを得ますが、誰とも長続きせず早い段階でつながりが切れてしまうことに悩んでいました。

「知り合ってからは相手の話をよく聞くようにしていた」と話す彼女の何に問題があるのか、関わりの中身をほどいていくうちにあることに気が付きます。

「私の話を最後まで聞かず、すぐ遮って自分の気持ちを言う姿に好意が冷めた」「意見が違うときに私の気持ちを否定することに傷ついた」と、相手を切ってしまうことには彼女なりの理由がありますが、引っかかったのはその「見切りの速さ」です。

1回目のデートは楽しかったけれど2回目のデートで相手のその姿を見て萎えてしまい、そのままごめんなさいとなる、「1回の違和感で答えを出す」のは少しもったいないのでは、と感じました。

そう伝えると、「すぐ違和感を覚える自分の感覚を信じた」と彼女は返し、その在り方も間違いでは決してないと思います。

ただ、まだ少ししか一緒の時間を過ごしておらず、「次」はもしかしたら別の展開になるかもしれず、な未知部分を経験しないまま相手を「自分の理想とは合わない」と判断するのは、早計な気もします。

彼女の感じた「違和感」には「私が想像した返し方と違った」という受け止め方があり、相手の「なぜそう考えるのか」にはまったく触れていない点も、もったいないと思う理由でした。

態度の中身を「知っていく」ことも重要

相手に対して「こうあってほしい」という理想がある場合、それを叶えてくれる姿を見ない限り「合わないかな」と感じるのは仕方がありません。

一方で、「それを叶えるかどうか」は相手しだいであって、きっかけをこちらから出して確認するのももちろんありですが、相手が期待通りの反応を返すかどうかは、自分では決められないのも事実です。

「自分が想像した返し方と違った」としても、相手の気持ちはどうなのか、もしかしたら自分と同じ状態を考えていて「出し方が違っただけ」の可能性もあります。

違和感を覚える自分の感覚はもちろん大切ですが、それと同時に「相手はなぜそう返したのか」まで知る姿勢も重要。

表面的な態度も無視してはいけないものですが、「そう思う理由は何か」まで話せるのが理解する姿勢であって、「理想と違うこと」ばかり意識が向いてしまうとかえって縁を逃がすこともあります。

知り合ったばかりでデートもまだ2回目なら、探る余地はお互いにたくさんあるはずです。

この女性の理想そのものは「高い」と感じるものではなく、自分のこれまでの失敗を反省する意識もあるからこそ、数時間のやり取りで合わないと決めてしまうのは「もったいない」と感じました。

自分の「理想」が叶う相手なのか、本当にわかる瞬間とは

相手について、「まだそこまで踏み込めませんでした」と話す女性は、そのときの自分の姿にも「本音を言っていなかった」と気が付きます。

「意見が違うときに私の気持ちを否定する」相手を見たとき、どんな言葉が返ってきたのかを尋ねると「その考え方は極端じゃないかな」と指摘されていて、そこで「自分がそう思うのはこんな経験や背景があるから」まで伝えることができていれば、相手にも自分を知ってもらうやり取りになったのではないでしょうか。

極端だと言われたことが彼女には「否定された」となり、そこで本心を口にするのをやめて「傷つけられた」気持ちだけが残るのは、少し寂しい気もしました。

知り合って間もないからこそ相手に心を開くのは難しく、返ってくる言葉がネガティブなものだと大きく動揺するのは当然です。

そのときに、コミュニケーションを諦めるのではなくもう一歩踏み込んでみる、「そう思う自分を知ってもらう」意識が、自分の理想が叶う相手かどうかを知る重要なやり取りに発展します。

自分の抱える背景や事情を知ってそれまで否定するような相手なら、そのときが本当に「合わない」と判断できる姿で、そこまで進める会話が叶うかどうかもしっかりと見ることができます。

出会いを大切にする気持ちがお互いにあれば、意見がすれ違うときに否定で終えるのではなく「なぜそう思うのか」まで相手について知ろうとするのが、いい関係を育てていこうとする姿勢です。

長続きする恋愛の「理想」とは

上記の女性は、それから数カ月後、仕事で知り合った男性と交際まで発展しました。

自分が大切にする「相性の良さ」について、「相手の考え方を知ってから決める」と方向転換した彼女は、理想を叶えてくれるかどうかで判断するのではなく「お互いの理想について話し合えるかどうか」を意識したそうです。

相手の言葉に耳を傾けることを忘れないからできた変化だと思いますが、「私はこう思う」を伝えたときに相手も自分の考え方について口にしてくれるか、理解し合う姿勢を持っているかどうかが、彼女の考える幸せの基本にありました。

相手にも自分に対して「こうあってほしい」という理想はあるかもしれず、それを知らずに自分の希望だけを叶えてもらうのは、対等ではありません。

彼女は過去の恋愛で「相手に求めすぎる」自分に気がついていたので、相手の希望を確認することを心がけていたといいます。

その姿勢を受け止められる相手こそ「理想」を叶えてくれる人であって、表面的な態度だけにとらわれるのではなくその中身まで話し合える姿が、居心地のよさを生みます。

長続きする恋愛には希望がある、と幸せなカップルを見ていると感じますが、理想を押し付け合うのではなく「一緒に叶えていく」気持ちが、愛情と信頼を大きくしていくのですね。

恋愛で持つ「理想」は、高い少ないではなくそれをふたりでどう大切にしていけるかが、長く関係を続けるには重要だと感じます。

相手を理解していくことで抱える理想の意味もわかり、自分の気持ちもまた改めて考える機会になるのではないでしょうか。

知っていくことや伝えることを諦めない姿勢が、自分の幸せを叶える基礎になります。

(mimot.(ミモット)/ 弘田 香)

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