「一杯」に無限の可能性 「ラーメン消費額日本一」山形市V2

ラーメン消費額で山形市の2連覇が決まり、喜ぶラーメン店主ら=山形市役所

 総務省の家計調査で山形市が6日、中華そば消費額(外食)で2位以下を大きく引き離し、2連覇を達成した。市民からは「ラーメンの魅力を再認識した」と喜びの声が上がった。2位だったライバル新潟市は新年度から、ラーメンを通じて観光振興を図る新規事業を計画中。ラーメンを地域資源と捉えた両市の取り組みが盛り上がりをみせている。

 家計調査の結果がホームページにアップされる同日午前8時半。山形市役所では佐藤孝弘市長をはじめ、市内のラーメン店などでつくる協議会の関係者らが集まり、市の担当者による集計作業を見守った。1位が確定すると拍手に包まれ、協議会長の鈴木敏彦さん(47)=麺辰店主=は「うれしい。山形のラーメンをもっと強いブランドにしたい」と語った。

 市ブランド戦略課は、ラーメン消費額が他地域を上回っている要因の一つに、味わい方の多様性を挙げる。昔ながらの中華そばに加え、辛みそや納豆を入れるなど楽しみ方はさまざま。同課の分析では、2023年は6月ごろまで新潟市と競り合う展開だったが、“キラーコンテンツ”とも言える冷やしラーメン効果で7月以降は新潟市を突き放し、1位の座を守り続けた。

 連覇を祝うかのように、この日の昼は多くの来店者でにぎわうラーメン店もあった。山形市のらー麺山之助本店(高橋雅俊店主)では午前11時半の開店と同時に続々と客が訪れた。週に1、2回はラーメンを食べるという寒河江市寒河江、会社員那須雄太さん(28)は「山形市はどこで食べても外れがない。麺やスープ、トッピングのどれも同じ物がなく、バラエティー豊かな味を楽しめる」と口いっぱいに麺をかき込んだ。

 横浜市から妻の地元の山形市に2年前に引っ越してきたという同市七日町2丁目、自営業伊集院正俊さん(75)は「山形に来るまでラーメンが有名だとは知らなかった。店によってこだわりや愛情が感じられ、いろんな店を巡りたくなる」とうなずいた。

 一方、2年ぶりの1位とはならなかった新潟市。同市では昨年、市の支援事業を活用し、共通の唐辛子を使って各店でオリジナルの一杯を提供するプロジェクトが繰り広げられた。新年度はさらに本腰を入れ、ラーメンを食べに来てもらうことで交流人口の拡大を図る事業の準備を進めているという。中原八一市長は、山形市を祝福しつつ「来年こそは1位を奪還できるように、多様な新潟ラーメンのおいしさ、魅力を発信する」などとコメントした。

本社が号外配布

 総務省の2023年の家計調査で、山形市の1世帯当たりの中華そば(外食)消費額が2年連続日本一となったことを受け、山形新聞社は6日、電子速報版を印刷した特別号外を市役所前で配布した。

 「ラーメン消費額日本一」「山形市が2連覇」「最高額も更新」などの見出しで、佐藤孝弘市長や市内のラーメン店主らがくす玉を割って笑顔で記念写真に納まる様子とともに報じた。

 午前9時50分ごろから配り、受け取った市民らからは「いがった」「ほっとした」などと喜びの声が上がった。同市十文字の農業石黒隆司さん(78)は前日もラーメンを食べたといい「3連覇を目指して、きょうの昼もラーメンにしようかな」と話していた。

昼食時にラーメンを食べに訪れた市民ら=山形市・らー麺山之助本店
山形市のラーメン消費額連覇を伝える特別号外を受け取る市民ら=市役所

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