高木毅氏、還流分の使途「不明」で領収書もなし 自民党裏金事件、資金管理団体が収支報告書を訂正

訂正された2022年の「21世紀政策研究会」の政治資金収支報告書。安倍派からの寄付110万円を収入に記載した一方、支出のお品代や会合費の金額や年月日などが「不明」となっている

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、安倍派(清和政策研究会)から還流を受けた高木毅前国対委員長(衆院福井2区)は2月6日、代表を務める政治団体の2020~22年の政治資金収支報告書を訂正した。この3年の還流分計865万円を収入に追加記載した一方、支出については領収書の写しを添付せず会合費などの使い道の詳細を「不明」とした。

 訂正のため福井県選管を同日訪れた会計責任者の男性は、支出を証明する領収書などがなく「不明」としたことについて、福井新聞の取材に「東京の(高木氏の)秘書から『載せなくていい』との話だったし、ほかの議員の報告書も確認したがそうなっている」と説明。詳細を示すため支出先に領収書の再発行を求めるかどうかは「(高木氏から)指示はない」と話した。

 報告書を訂正したのは、県選管に届け出ている資金管理団体「21世紀政策研究会」。20~22年の訂正後の報告書によると、安倍派からの寄付として20年分に420万円、21年分に335万円、22年分に110万円の計865万円の収入を追記した。高木氏が1月27日の福井県敦賀市内での会見で説明した金額と一致している。

 20~22年の支出については、この3年分の報告書にいずれも「支出のうち一部の支出の明細について特定することできないため記載できません。当該不明分については判明した時点で訂正いたします」(原文ママ)と記載。訂正内容をみると、飲食代などを載せる「会合費」、贈答品などの「お品代」、「交通費」といった支出目的は記載されているものの、年月日や金額などが記載されず「不明」とした。22年の収支報告書では翌年への繰越額は訂正がなく、この3年の還流分は全て支出したことになっている。

 高木氏は会見で還流分の全額を「同僚や後輩議員、マスコミ、有識者との意見交換会の飲食費、会場費、交通費など政治活動費に充てた」としたものの、領収書は「残っていない」と説明していた。

 会見では、18~22年の5年間の還流額は計1019万円で、18年に66万円、19年に88万円の還流があったとした。18、19年の報告書は公開・保存期限を超過しており、詳細は明らかになっていない。

 県選出国会議員ではこのほか、報告書の不記載があった稲田朋美衆院議員と山崎正昭参院議員は今後訂正する方針を示している。

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