長崎・グループホーム火災から11年、遺族が現場跡地を訪れ献花

花束を手向け、静かに手を合わせる飯田さん=8日午前10時32分、長崎市東山手町

 長崎県長崎市東山手町の認知症高齢者グループホーム「ベルハウス東山手」で入居者5人が死亡した2013年の火災から8日で11年。伯母の井上ハツコさん=当時(86)=を亡くした雲仙市の飯田光一さん(66)は、現場跡地を訪れ、花束を手向けた。「火災があったこの日を忘れないでほしい」
 飯田さんは手を合わせた後、3年前に死去した母親の介護を振り返り「介護は地獄のような日々だった。施設に預けないと生活ができなくなる」と高齢者施設の必要性を指摘。その上で「(ベルハウス東山手で)避難経路や防火設備が整っていれば、伯母も助かったかもしれない」と悔しさをにじませた。
 大叔母=当時(88)=を亡くした長崎市の金子優子さん(53)は「(施設の運営会社元代表は)反省の色が見えない。月日がたっても事故に目を向けて、1年に1回でも謝罪をしてほしい」と求めた。
 火元となったのはTDK製のリコール対象加湿器。同社によると、該当加湿器の回収率は77.4%(1月末現在)で、4713台が未回収となっている。

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