ロシアがウクライナに侵攻してまもなく2年。反転攻勢がうまくいかないウクライナを我が事のように見守っているのが台湾です。中国や台湾情勢に詳しいジャーナリスト・野嶋剛さんに話を聞きました。
中国は台湾に攻め込むのか
ジャーナリスト 野嶋剛さん:
「独裁者、プーチンが突然周りの予想を裏切ってウクライナに攻め込みました。中国も台湾に攻め込むか、いろいろな意見がありますが、習近平という独裁者がある日、決断したら台湾は攻められるかもしれません。そういう意味では共通点はかなりあります」
アメリカ国防省が公表した資料によると、パトリオットや地対空ミサイルなど、多くの武器がアメリカからウクライナに、供与されました。一方で、アメリカ軍は2021年のアフガニスタンからの撤退以来、新たな紛争地域への派遣はされていません。
野嶋さん:
「アフガニスタンからアメリカが撤退しました。それは台湾の人たちからするとアフガニスタンはアメリカに見捨てられてしまったのだ、と。自分たちもアメリカから見捨てられるかもしれないという想像が働いたんです。アフガンの撤退、ウクライナ戦争の2つの事柄で、アメリカは頼りにならない、アメリカと近づきすぎたら危ないのではということが伝わったのだと感じます」
そこで台湾で生まれた論争が「アメリカを信じるべきか、信じないべきか」。
アメリカを信じる・信じない、激しい論争に
野嶋さん:
「今回の2024年1月の総統選挙の際は、アメリカとどういう関係をつくっていくかということで、アメリカを信じるべきか、信じないべきかの激しい論争が続いていました」
1月に投開票された台湾のリーダーを決める総統選挙。中国と距離を置く与党・民進党の頼清徳氏が当選しました。
野嶋さん:
「今回、民進党の票は総統選挙でいうと前回の蔡英文さんが取った票よりも260~270万票減っています。これはかなりの票の減少。それがアメリカと中国の関係がどこまで影響したか科学的に言うことは難しいですが、一定の影響があったと考える人もいると思います」
共和党予備選挙2連勝のトランプ氏
さらに、台湾に大きな影響を与えそうなのが2024年11月に行われるアメリカ大統領選挙です。共和党の予備選挙で2連勝したトランプ氏。そのままの勢いでアメリカ大統領に返り咲くことに不安を募らせているといいます。
野嶋さん:
「トランプは従来のアメリカの伝統的な政治思想を持っている人ではないので、平たくいうと何をするかわかりません。台湾に近づくかもしれないし、逆に中国に一気に傾くかもしれない。台湾の状況は不安定化する可能性があります」
日本がとるべき道は
台湾有事が起きないために、日本がとるべき道は――。
ジャーナリスト 野嶋剛さん:
「今回の能登半島地震では、2週間で25億円の義援金が集まりました。日本に対して好意的な台湾を、我々が見捨てるはずはないじゃないかと。だから、国交がなくてもいろいろな形で『日本は台湾を応援する』『皆さんが歩んでいる道は、間違っていない』ということを台湾に思っているだけでなく、言い続けることが大事だと思います」