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岐阜県の陶器の窯元が、窯たきに使うまきの“おがくず”を再利用できないかと考え出したハート型の着火剤。その名も「ハートに火をつけて」。開発の経緯や思いを取材しました。
200年以上の歴史がある窯元
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岐阜県多治見市にある窯元「幸兵衛窯(こうべえがま)」。200年以上の歴史があり、伝統ある美濃焼を多く生み出しています。幸兵衛窯八代目・加藤亮太郎さんは「1日半くらい窯焚きをします。38時間くらい。40時間弱です」と話します。
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窯の温度は、最大1200度ほどまで上昇させます。窯の温度を上げるのに欠かせないのが大量のまきです。このまきから幸兵衛窯はハート型の「着火剤」を作りました。
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加藤さん:
「今までは畑にまいたり肥料に使っていたりしたけど、それにしても大量に出るので何かに活用しようか、と」
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着火剤作りに協力したのは瑞穂区にあるスキー・スノーボードのメンテナンス店「キャラファクトリー」。スノーボードの滑走性能を上げるために必要なのが、ワックスです。ボードにワックスを染み込ませ、乾いたらワックスを削ります。その作業で出るのが、削りカス。相当な量になります。
おがくずとワックスの削りカスを有効活用
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加藤さん:
「ワックスの削りカスは『パラフィン』という原料でできています。パラフィンはロウソクのろうと一緒なんです。固まる素材でもあり、燃える素材でもあるのでおがくずと混ぜ合わせれば着火剤になるのかな、と」
ワックスの削りカスも使い道がなく廃棄していたことが分かり、キャラファクトリーを経営する同級生の山本恭平さんと共同で開発することに。
開発期間は約半年。簡単には完成しませんでした。
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加藤さん:
「結構、崩れやすく、形を維持するためにどうしたら良いかとか。ワックスの分量を何度もテストして色んな配合を変えて調整しました」
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試行錯誤して完成した着火剤。この着火剤には素材を無駄にしたくないという強い思いから生まれました。
加藤さん:
「無駄に燃やすのではなく、何かの形で生まれ変わらせたいので、まきを使っています。そこから出てきたおがくずも、ただ捨てるだけでなく何かに再利用したいです。何らかの形で物の役に立てたいというところからできた商品です」
着火剤は手作業で製作
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完成して商品化された着火剤は、以前から幸兵衛窯と親交がある障害者施設「名古屋さくら作業所」の利用者が作っています。おがくずとワックスを混ぜたものを15分ほど湯せんし、ハートの型に押し込みます。
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冷蔵庫で2~3時間程冷ますと、着火剤の出来上がり。袋詰めまで手作業で行っています。
前谷 新菜さん:
「楽しいです。完成したところを見たときにうれしくなります」
着火剤づくりを障害者施設に依頼することで、障害者雇用の促進にも一役買っています。
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着火剤を完成させた加藤さん、さらに別の廃材の有効活用も考えています。
加藤さん:
「焼き物屋なのでいろんな素材を使います。その中でも例えば再生土とか、廃棄した焼き物をどうやって生まれ変わらせるとか。そういったことにも、いずれ取り組んでいけたらなと」