アルファ化米活用、ひなの発育実験 アルファテックとアイオイ、飼料の地産地消を目指す

飼料の海外依存脱却と地産地消を目指す五十嵐忠一社長(左)と駒井雄一社長=鮭川村中央公民館

 消化性の高い飼料の量産に取り組む山形大発のベンチャー企業アルファテック(米沢市、駒井雄一社長)と、肉用鶏生産のアイオイ(鮭川村、五十嵐忠一社長)の事業発表会が9日、鮭川村中央公民館で開かれた。でんぷんのアルファ化技術により消化性を高めた地元産飼料用米を用いたひなの発育実験に取り組み、畜産飼料の海外依存脱却と地産地消を目指す。

 アルファ化はでんぷんの分子構造を壊すことで消化しやすくし、栄養吸収率を高める工程で、通常は炊飯を用いる。アルファテックは、熱を加えながら穀物を粉砕して効率的に穀物をアルファ化する技術を持つ。

 実験は同社が仕入れたひなに約3週間、アルファ化した飼料用米を配合した餌を与える。通常通り育てた鶏と体重を比較し、成育に必要な飼料の量などを調べ、実証化を検討する。

 県のソーシャルイノベーション創出モデル事業の一環。本県では、地元で生産されたコメを飼料として有効活用できていない課題がある。国内では配合飼料の約9割を海外産に依存している状況で、穀物価格は2000年と22年を比べると約2倍に高騰しており、生産コストは年々上昇している。

 ひなは消化器官が未発達のため、アイオイではこれまで、生後3週間以上育てた鶏に本県産と宮城県産の飼料用米を半分以上用いた餌を与えてきた。同社の鶏は「やまがた最上どり」として、年間170万羽出荷している。アルファ化により、ひなの時点から地元産の飼料用米を与えることで、生産コストの削減や最上どりのブランド力強化が期待される。

 駒井社長は「実証実験を成功させ、アルファ化の技術を全国、世界に広めたい」、五十嵐社長は「山形のコメを使って最上どりを育てていきたい」と意気込みを語った。

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