刑法犯認知20年ぶり増 23年栃木県警まとめ 1万2千件、人流回復が要因か 前年比1.3倍

 栃木県警が2023年に認知した刑法犯は前年比3049件(34.3%)増の1万1932件となり、ピークだった03年(4万469件)以降、20年ぶりに増加へ転じたことが9日までに、県警のまとめで分かった。中でも窃盗犯が2643件(39.5%)増の9330件に上り、全体の約8割を占めた。新型コロナウイルスの5類移行などに伴う人流の回復が増加の一因とみられる。一方、県警が23年に摘発した刑法犯の検挙率は29%となり、06年以来17年ぶりに30%を下回った。

 県警刑事総務課によると、刑法犯認知件数は03年をピークに右肩下がりを続けた。コロナ禍の20年は戦後初めて1万件を切り、22年は8883件と戦後最少に。増加に転じた23年は4年ぶりに1万件台を超えた。

 数字を押し上げた窃盗犯のうち、特に住宅対象窃盗が224件増の678件と急増、半数以上は空き巣だった。465件増の1493件となった自転車盗は、7割以上が無施錠で被害に遭った。

 金属盗は750件増の1464件。人目に付きにくい神社の屋根の銅板や、工場の銅線などが盗まれるケースも目立った。

 殺人や強盗、放火などの凶悪犯は18件増え、70件を数えた。詐欺などの知能犯(428件)、暴行・傷害などの粗暴犯(600件)、強制わいせつなどの風俗犯(136件)も前年を上回った。

 一方、20年に52.8%だった検挙率は、21年42.6%、22年42.4%と推移。23年は13.4ポイント減の29%と、前年を大幅に下回った。同課は、窃盗犯の急増などが検挙率に影響したとみている。

 摘発人数は2169人となり、前年より160人増えた。県警は「検挙と抑止の両輪で防犯活動に力を入れる。自転車盗など身近な犯罪が増えているので防犯意識を高めてほしい」と呼びかけた。

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