「対面朗読室」の運用開始 県立図書館、視覚障害者など対象

運用を開始した対面朗読室。対面朗読者(右)が本を読み上げるサービスを提供する(写真はイメージ)=山形市・県立図書館

 県立図書館(山形市)は、視覚障害者や視力が低下した高齢者などでも本の内容を楽しむことができる「対面朗読室」の運用を始めた。朗読の技術を持つ人や同伴者に本を読み上げてもらうスペースで、障害の有無にかかわらず誰もが書物に親しめる図書館づくりを進めている。

 「読書バリアフリー法」成立を受け、同館は2020年のリニューアルオープンに際し、1階に約10平方メートルの対面朗読室を整備した。しかし「密」となる個室のため、新型コロナウイルス禍の影響で運用できていなかった。状況が改善したとして先月下旬に開始した。

 使い方は主に三つ。利用者は「対面朗読者」から本を読み上げてもらうか、同伴するヘルパーらに代読してもらう、または一部書籍の内容を録音した音声データを聞くことができる音声資料再生機を使用する。

 対面朗読者は、県立点字図書館で音訳ボランティアを長く務めた人が担当する。対面朗読は、読み上げるペースを変えたり、疲れたときに休憩を挟んだりすることができ、使う人のニーズに合わせたサービスを提供できる。対面朗読者の利用は無料、1週間前までの申し込みが必要となる。

 対面朗読室の使用には、事前に「障がい者等サービス利用登録」が必要となる。障害者手帳の有無は問わない。これまで11人が登録を済ませているという。

 同館は「これまで図書館に行きたいという気持ちがあっても、なかなか足を運べなかった人にぜひ利用してほしい」と話している。問い合わせは同館023(631)2523。

© 株式会社山形新聞社