本紙記者、南極へ・昭和基地に別れ 夏隊員ら、氷河沖で活動へ

別れを惜しみ、固い握手を交わす隊員たち=11日午後1時21分(日本時間午後7時21分)、昭和基地

 【昭和基地=報道部・小田信博】第65次南極観測隊(橋田元(げん)隊長)は11日、帰国の途に就くため、昭和基地を離れ南極観測船「しらせ」に帰還した。夏期間の活動を終えた夏隊のほか、約1年を基地で過ごした第64次越冬隊の撤収が完了。今後は第65次越冬隊員約30人が基地に滞在しながら、観測活動などを続ける。

 今月に入り、隊員は順次ヘリコプターで船に戻っており、11日は最終便が飛んだ。ヘリポートに集まった隊員たちは「また会いましょう」と声をかけ合ったり、抱き合ったりして別れを惜しんだ。基地に残る越冬隊員は「ありがとう 大好き」と書かれた横断幕を掲げ、ヘリが遠く離れるまで手を振り続けた。

 第65次越冬隊の山岡麻奈美さん(30)=奈良先端科学技術大学院大学職員、広島市出身=は「仲間を見送るのはさみしいが、第66次隊が来るまでみんなで乗り越えたい」と話していた。

 この日は、海上自衛隊の大型ヘリで不具合が発生したため、観測隊のヘリでピストン輸送した。観測隊は今後、トッテン氷河沖で海洋観測を行い、3月中旬にオーストラリア西部・フリマントルで下船して空路で帰国する。

夏隊員を乗せ、「しらせ」に戻るヘリを見送る越冬隊員ら=11日午後1時24分(日本時間午後7時24分)

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