これも消齢化?

 「消齢化」という言葉をご存じだろうか。趣味やファッション、食の好みなど生活のさまざまな分野で年齢や世代の壁が消えつつある現象を指すそうだ▲ユニクロの店内やお昼時のファストフード店の行列、長崎ヴェルカやV・ファーレンの応援席など思い当たる場面は枚挙にいとまがない。年齢を聞いてびっくり…アクティブな年配者は明らかに増えた▲ひょっとしたらこれも消齢化の象徴なのか、と強引なことを考えたのは秋の米大統領選に向けて始動した民主、共和両党の候補者選びだ。現職のバイデン氏と前大統領のトランプ氏の再対決が有力視される。かたや81歳、こなた77歳▲バイデン氏は就任の日から大統領の最高齢記録を更新し続けてきた。彼の高齢は今に始まった話ではないが、ここへきて記憶力の低下が問題視されている-と一昨日の外信記事▲反論を試みた直後に他国の首脳の国名を言い間違えてしまった。しかも、これが“たまたま”ではなかったようで、紙面には「最近の言い間違え」と身もふたもない表題のリストも▲当初からつきまとう高齢不安との戦いは一段と厳しくなるはずだ。かと言って、前大統領の返り咲きは「今年最大のリスク」とささやかれる。難しい選択になるだろう。誰か他にいないの…海の向こうのため息を思う。(智)

© 株式会社長崎新聞社