V長崎の新戦力8人 「守備改善」を最優先補強 既存選手と融和を図り、J1昇格へ

 サッカーJ2のV・ファーレン長崎は今季、8人の新戦力を迎えた。昨季は、J2参入以降最多の70得点を記録してリーグ4位の得点力を誇った一方で、リーグで8番目に多い56失点。不安定だった守備の改善と展開力の向上を最優先に、中盤とDFラインを重点的に補強した。実質的に指揮を執る下平隆宏ヘッドコーチ(HC)が掲げる「ボールを大事にする」というコンセプトの下、目標の「J1昇格」に向けて既存選手との融和を図っている。

中盤の底でゲームコントロールするMF山田。攻守のキーマンになる

  MF 

 注目はJ1名古屋から完全移籍してきたMF山田陸(25)。ボールを奪える、散らせる、前に運べる万能型ボランチで、竹村栄哉テクニカルダイレクターも「理想のボランチ」と太鼓判を押す。3日のJ1札幌とのトレーニングマッチではパスカットから素早く前線へスルーパスを通すなど才能の片りんを見せた。昨季は名古屋で試合に絡むことができず悔しい思いもした。「とにかく試合に出たい」と実戦に飢えている。
 U-18から昇格した西村蓮音(18)はサイドバックや攻撃的MFなど複数ポジションに挑戦している。

ディフェンスリーダー候補として期待がかかるDF新井。リスク管理に優れている

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 DF陣は最多の4人。センターバック(CB)は有力な2人が加わった。J2千葉から完全移籍した新井一耀(30)は経験豊富で「リスク管理やコーチング、攻撃時のセットプレーが自分の特長」。リーダーとしても期待される。J1柏からは、昨年のU-20ワールド杯に出場した田中隼人(20)が育成型期限付き移籍。「左足でのビルドアップやくさびのボールで違いをつくれる」と定位置確保へ闘志を燃やしている。
 サイドバックは、J2秋田から飯尾竜太朗(33)、法大からモヨマルコム強志(22)を獲得した。2017年にV長崎でJ1昇格を経験した飯尾は安定した守備力とクロスが魅力。副主将としてチームのまとめ役も担う。モヨはチーム上位の筋力とスピードを誇る。練習で対峙(たいじ)したMFマテウス・ジェズスに当たり負けせず、MF松澤海斗のスピードにもついていく。大卒1年目ながら「開幕スタメンを狙う」と気後れもない。

守護神の座を狙うGK若原。最後尾からチームを支える

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 昨季全試合にフル出場した波多野豪がレンタル元のJ1FC東京に復帰。J1京都からU-15~20の年代別日本代表に選出されていた若原智哉(24)が期限付きで加わった。昨季は京都で開幕スタメンを勝ち取り、6月にけがをするまでゴールを守り続けていた。セービングと足元の技術に定評がある。下平HCはGKのビルドアップ参加を重要視しており、「失点しないことは当たり前。ゴールに直結するような組み立てをやっていきたい」と意欲的だ。

トレーニングマッチで得点を奪ったFW七牟禮

  FW 

 U-18から七牟禮蒼杜(18)が昇格。2022年から2年連続で2種登録され、22年6月の天皇杯3回戦でトップチームデビューも果たしている。札幌とのトレーニングマッチはMFで出場して“プロ初ゴール”を奪った。今季の目標はリーグ戦初出場初得点。FW陣は、昨季J2得点王のフアンマ・デルガドや高い決定力を誇るエジガルジュニオら強力なライバルが多いが、「裏への抜け出しやスプリントで持ち味を出していきたい」とアピールを続けている。

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