火山灰の上を車で走行したら…「完全に空回り、どんどん潜っていく」富士山の噴火を想定した訓練 課題は

国土交通省は、富士山の噴火を想定して、行政機関などの職員を対象に火山灰が敷き詰められた道で車を走らせる体験会を行いました。この体験からは、課題が見えました。

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<東部総局 金原一隆記者>
「富士山が噴火して大量の火山灰が降ったら、道はどうなるのか。警察や消防、行政の車が火山灰の上を走る練習をこれから行います」

体験会場は、静岡県富士宮市の大谷川扇状地です。ここに火山灰を運び込んで体験の会場を作りました。

<国土交通省富士砂防事務所 中戸真一事業対策官>
Q.(厚さは)どれくらいになりますか?
「10センチくらいの厚さ。宝永火山と同等規模の噴火が発生したら、これぐらいの厚さの火山灰が堆積する可能性がある」

体験会には自治体や消防、警察など、約100人が参加しました。火山灰が積もった坂道は一般的な道と、どのように違うのかを運転を通して学びます。

<東部総局 金原一隆記者>
「それでは、火山灰の上を走る練習、体験してみます」

300年前の宝永噴火の火山灰が敷き詰められた坂道です。取材で使用する「4輪駆動車」で登ってみます。

<東部総局 金原一隆記者>
「あー、おー、アクセルをかなり踏んでいますが、タイヤが空回りしてますね」「一度アクセルから足を離すと止まってしまいそうです」

次は、鹿児島県・桜島の細かい火山灰が敷かれた坂道です。4輪駆動を前輪の「2輪駆動」に切り替えて挑戦です。

<東部総局 金原一隆記者>
「あー、完全に空回りですね。2輪駆動だとタイヤが回ってしまいます。どんどん潜っていく」

2輪駆動の場合、火山灰の積もった坂道は車で上がるのが難しいことが分かりました。

富士山の大規模噴火が起きたとき火山灰がどのように降るのか、内閣府などが行ったシミュレーションです。風向の変化が比較的大きい南よりの風が吹いた場合、静岡県内のほぼ全域で火山灰が降ると予測されています。

<富士宮警察署の署員>
「今までにない。経験したことが無かったですね」

<富士市消防本部の隊員>
「消防車のほとんどが二輪駆動でして、一部四輪駆動もありますが、車重が重いので活動は困難を極めると思う。車両更新の際には、4輪駆動車の重要性を考えて配備を進めたい」

この体験会は、2月22日も実施される予定で28の機関から総勢170人が参加します。

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