NATO事務総長「ロシア勝利なら中国に勢い」、米にウクライナ支援要請

[ブリュッセル 14日 ロイター] - 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は14日、ロシアがウクライナでの戦争で勝利すれば、中国が勢力を増すと警告し、米下院に対し「極めて重要な」ウクライナ支援法案を可決するよう訴えた。

ストルテンベルグ事務総長はロイターのインタビューで「米下院がウクライナへの支援に同意することを期待している。これは慈善活動ではなく、われわれの安全保障に対する投資だ」と語った。

ストルテンベルグ氏は、欧州のほか、カナダもウクライナに対する支援を強化しているとし、欧州とカナダの合計の支援は米国を上回っていると指摘。

それでも米国の支援は「引き続き極めて重要」とし、「ロシアのプーチン大統領がウクライナで勝利すれば、軍事力を行使すれば望むものが手に入るというメッセージをプーチン氏だけでなく、他の権威主義的指導者にも送ることになる」と警告。中国はウクライナで何が起こっているのか注意深く観察しているとし、「侵攻を受けているのは現在はウクライナだが、明日は台湾になる可能性がある」と述べた。

また、NATO加盟国を外部の攻撃から防衛しない可能性に言及したトランプ前大統領の発言を受け、欧州の米国への防衛依存を巡る議論が出ていることについては、「欧州連合(EU)は欧州を守ることはできない。NATOの国防支出の80%は非EUのNATO同盟国が拠出している」とし、欧州が単独で防衛に乗り出すことに警鐘を鳴らした。

その上で、欧州の安全保障は米国、カナダ、トルコ、ノルウェー、アイスランドなどにも明らかに依存しているとし、「欧州を北米から切り離そうとする試みは、欧州の分裂につながる」と指摘。欧州のNATO加盟国は防衛力の強化に一段と取り組む必要があるとの認識を示すと同時に、強化に向けた取り組みは大西洋横断的な枠組みの中で行われなくてはならないと語った。

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