「呉羽ハイツ」長期休業 斜面崩落、浄化槽も損壊

地震で崩落した呉羽ハイツ敷地内の斜面。ブルーシートで覆われている=14日、富山市吉作

  ●「秋の書き入れ時」おわらへ復旧急ぐ

 能登半島地震の影響で、富山市吉作の呉羽丘陵にある宿泊施設「呉羽ハイツ」が9月ごろまでの長期休業を余儀なくされることが14日、富山市などへの取材で分かった。敷地内の斜面が大規模に崩落。浄化槽も損壊して下水機能が失われたため、宿泊、宴会部門とも休止し、一部の従業員は自宅待機している。市は越中八尾おわら風の盆や富山まつりのある秋の書き入れ時に間に合わせるため復旧を急ぐ。

 土砂崩れが発生したのは呉羽ハイツ北側の多目的ホールそばの斜面。幅約30メートル、長さ約160メートルにわたって崩落し、ガードレールやアスファルトもろとも大量の土砂が200メートルほど離れた市道近くまで流出した。浄化槽の配管も失われてトイレ、調理場、風呂が全て使えなくなり、1月2日から休業している。

 現在は、雨や雪でさらに土砂が流出しないよう、ブルーシートで多目的ホールそばの斜面を覆っている。民家への土砂流出を防ぐ土のうも設置された。測量など事前調査を進め、復旧工事は5月以降に始まる見通しだ。

 富山市商工労政課によると、施設に深刻な損傷はなく、浄化槽が使えるようになれば営業を再開できるという。損壊した浄化槽は崩落した斜面にあるため修理が難しく、新設することを検討している。秋の再開後も斜面そばに立地する多目的ホールは安全を考慮して使用しない。

 呉羽ハイツは地震発生当時、ほぼ満室で、約120人が宿泊していた。津波警報を受けて大勢の避難者が駆け込み、スタッフが対応に当たった。けが人は出なかった。

 呉羽ハイツは1972(昭和47)年5月に開業。富山県と富山市が共同出資した「富山勤労総合福祉センター」が運営している。客室37部屋のほか、大浴場、研修棟、多目的ホールを備えている。企業や団体の歓送迎会、法要や祝いの宴席などに利用されていた。

 同センターによると、1月以降の予約は好調だったが、全てキャンセルし、現在は宿泊・イベントとも予約は受け付けていない。従業員は勤務日を週2、3日に減らし、電話対応などの業務に当たっている。調理師など一部従業員は、運営する宿泊施設「とやま自遊館」(富山市湊入船町)の業務に回った。パート、アルバイトの従業員の一部は自宅待機となっている。

 市商工労政課の柵伸治課長は「従業員の雇用を守るためにも早期に営業再開できるようにしていきたい」と話した。

© 株式会社北國新聞社