福島県がJR利用詳細調査 新年度、赤字4路線中心 時間帯別や無人駅乗降者数など 実態把握し利活用策

 福島県は新年度、JR東日本公表の収支で赤字が明らかになった県内JR4路線を中心に、詳細な利用実態を初めて調査する。JR公表の利用状況だけでは測りきれない時間帯別、無人駅での乗降者数などを明らかにし、より実効性ある利活用促進策を打ち出す。14日、郡山市役所で開かれた水郡線活性化対策協議会のワーキンググループ(WG)の成果報告会で示した。

 対象路線・区間は今後精査するが、JR公表の収支で赤字が判明した水郡線、只見線、磐越西線、磐越東線の4路線9区間のうち、沿線自治体の若手職員らが活性化策を議論してきた水郡線や磐越東線を主に調べる方向で調整する。

 JRが利用状況を示すデータとして公表しているのは一定区間の1キロ当たりの1日平均乗客数、駅ごとの1日平均利用者数。駅ごとの利用者数は有人駅に限られるため、県が独自で無人駅の実態を調べる。

 平日や休日、朝夕など時間帯別の利用者数、年齢層などの属性を把握する方向。利活用を促す必要がある区間を特定し、対策次第で利用増が期待できる時間帯などを明確にする方針。運行実態と乗客ニーズとの隔たりなども調べ、対策の実効性を高める。調査の実施時期は今後詰める。

 利用実態調査と合わせ、駅を中心としたまちづくりを実現させる取り組みも進める。沿線住民とのワークショップなどを通し、駅周辺施設の活用方法などを検討する。

 県は14日の2月定例県議会に提出した2024(令和6)年度一般会計当初予算案に、調査費など関連経費約1200万円を盛り込んだ。県は調査結果を踏まえた具体的な対策費を2025年度予算案に計上したい考え。

 赤字の県内4路線9区間は水郡線の常陸大子(茨城県大子町)―磐城塙(塙町)と磐城塙―安積永盛(郡山市)、只見線の会津若松―会津坂下、会津坂下―会津川口(金山町)、只見―小出(新潟県魚沼市)、磐越西線の会津若松―喜多方、喜多方―野沢(西会津町)、野沢―津川(新潟県阿賀町)、磐越東線のいわき―小野新町(小野町)の各駅間。

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