【早出し】復旧進まぬ奥能登 能登地震・本紙記者ルポ

倒壊した建物が目立つ市街地を歩く住民=14日午後3時5分、石川県珠洲市

 【報道部・秋葉宏介、米沢支社・斎藤健太】山形新聞の能登半島地震取材班は14日、甚大な被害を受けた石川県に約1カ月ぶりに入った。徐々に道路や上下水道などは使えるようになっているが、珠洲市などがある半島北東端の「奥能登」では復旧が十分に進んでいない。津波被害も受けた同市沿岸部は、倒壊したり倒れかけている家屋などが道の両脇に連なり、発生当時のままの状況だ。

 沿岸部の同市宝立町鵜飼の集落は川の河口部に位置する港町。道路はひびが入り、崩落したままの所もあった。強い揺れで倒壊し津波で流された建物の木材などが、集落に押し寄せたという。車が通るたび、土ぼこりが舞った。「ご苦労さま」。建物の敷地から出てきて、取材班とすれ違った際に声をかけてくれた高齢男性は、疲れた表情で通りを歩いていった。

 発生から1週間ほどたった先月初旬に被災地を取材した際、半島中央部の七尾市では上水道だけでなく、病院やコンビニなどでも水洗トイレが使えない所が多かった。今回は14日に同市に入ると、公共施設などでは使える所が多かった。

 奥能登に向かうにつれ東北地方を含め各都道府県の警察や、自衛隊など救援の車両が多くなる。渋滞はかなり緩和された。自動車専用道を含め、応急的な補修が施され通行できるルートが増えているものの、なお地震による段差だらけだ。

 この日は気温が上がり、朝晩の冷え込みも比較的厳しくなかったが、避難所にはまだ多くの人が身を寄せていた。「この状況を広く伝えてほしい」。避難者の一人は、こう語った。

© 株式会社山形新聞社