理想のキャプテン像追う 福島県ゆかりの乃木坂46梅沢美波さん 書籍「美しくありたい」発刊

キャプテンとしての思いを語る梅沢さん

 アイドルグループ乃木坂46のキャプテンで母親が福島県出身の梅沢美波さんは1月、書籍「美しくありたい」(日経BP社)を発刊した。2018(平成30)年から2023(令和5)年夏まで「日経エンタテインメント!」に掲載した連載に加え、昨年のグループの様子などを収録している。梅沢さんは福島民報社のインタビューにキャプテンとしての思いなどを語った。

 ―キャプテン就任から1年になる。

 「グループに加入して8年目になり、自分のやり方や進み方がつかめてきたところだったが、新たにキャプテンという立場になり、それがリセットされた感覚になった。さまざまなところに意識を張り巡らせて過ごしてきた。慎重にかつ敏感になっていた1年だった」

 ―グループに変化は。

 「キャプテンに就任した時が先輩方の卒業時期と重なり、グループの体制が大きく変わった。メンバーも新しい気持ちで挑めていたと思う。全員が責任感や自主性を持ち、どう動くべきかを考えてきた」

 ―どんな思いでグループを引っ張っているか。

 「好きな形をつないでいきたいという思いで活動してきた。キャプテンはグループを代表して言葉を残さないといけない立場だが、先導してきたというより横一列で歩んできた感覚の方が強い」

 ―キャプテンは梅沢さんで3代目になる。

 「初代キャプテンの桜井玲香さんは背中で語る先輩だった。スタッフとのコミュニケーションを誰よりも取り、グループの動き方やライブのセットリストなどを積極的に考えていた。気持ちを察して動き、それを見せない格好よさを学んだ。2代目の秋元真夏さんは副キャプテンとして近くで見てきた。メンバーに寄り添い、いつも身近にいてくれたキャプテンだった。一人一人の話を聞き、全員に優しさを振りまいてくれる姉のような存在だった」

 ―2人と比べて。

 「メンバーからは抜けているところが(2人に)似ていると言われる。以前からしっかりした真面目なイメージを持たれることが多かったが、そんなことはない。『強くあらなきゃ』とつくっていた部分があった。副キャプテンに就任し、抜けている部分を見せた方がメンバーとの関係も近くなると思い、隠さず見せられるようになった。後輩からいじられることも増えた」

 ―グループ初の副キャプテン就任時、戸惑いはあったか。

 「戸惑いはあった。メンバーそれぞれが真夏さんを支えようと思うが、どこまで関与すべきか分からない中で、副キャプテンという制度ができたのは良いこと。ただ、前例がなく、動き方や何を担うかも分からず、不安だった」

 ―心境の変化は。

 「真夏さんとグループのことを話し合うようになり、自分よりもグループに目を向けて話す機会や全体ライブなどでMCを担当することが増えた。『メンバーを支える何かができればいい』という一心で動いていた。メンバーを支える覚悟は就任前とは全く違ってきた」

 ―理想のキャプテン像とは。

 「今も考え、追い続けている。軸がしっかりしていて、自分の意見を持てる人が理想。全体を考えた意見を持ちながらも、その中で自分の意見を見失わない人でありたい。自分を持ち周りも見られる、動揺を見せない格好いいキャプテンになりたい」

 ―大変なことは。

 「考え方が人数分あり、メンバーの考えを集約して言葉にすることが難しい。キャプテンとして初めて臨んだ昨年夏の全国ツアーでは、毎公演の前後に話す機会があった。新体制直後で、多くの人から『新体制をメンバーはどのように思っているのか』という注目のされ方をしていた。私が発した言葉がグループの言葉になる。全員が納得できる説得力ある言葉を探すのが大変だった」

 ―普段から心がけていることとは。

 「メンバーそれぞれの要領や考え方があるので、押しつけず、まずは様子をうかがっている。信用されるように自分自身の行動にも気を付けている。キャプテンはグループの軸になるので、外に出た時にメンバーの雰囲気をまとっていないといけないと思っている」

 ―どんなグループにしていきたいか。

 「個性や色があるアイドルが増え、さまざまなことに手を出さなければいけないと思いがちになる。乃木坂46は結成から12年が経過し地盤づくりはできている。あまり乃木坂46を知らない人からのイメージも固まってきていると思う。そのイメージを守っていきたい。乃木坂46として活動してきた自信を胸に、謙虚さを忘れずメンバー全員が楽しく活動できるグループにしたい」

 ―個人的に挑戦してみたいことは。

 「舞台やモデルなど一通り経験させてもらったが場数が足りない。梅沢美波としてのスキルをさらに磨きたい。経験が少ない映像の芝居や、舞台では身長を生かした役にも挑戦したい。ファッショナブルな乃木坂46のイメージを守れるよう、モデルの仕事でも先導していきたい」

 ―6期生の募集が始まった。

 「誰にでも今いる環境を手放す怖さや自信のなさはある。環境を変えることは勇気が必要だが、私は全く後悔していない。乃木坂46に入って学べることがあり、世界が広がることが自分にとって大きな一歩だと思う。乃木坂46を好きでいてくれるなら手を差し伸べたい」

 ―乃木坂46を目指す若き読者にメッセージを。

 「卒業した白石麻衣さんに憧れて乃木坂46を受けた。当時は特技もなく、歌もダンスもできなかった。何も持ってなくてもいい。これから見た目も中身も変わることはできる。もし、少しでも気になっているなら挑戦してほしい」

 うめざわ・みなみ 神奈川県出身。2016(平成28)年、乃木坂46に加入。副キャプテンを経て2023(令和5)年2月、3代目キャプテンに就任した。ファッションモデルを務め、舞台や映画に出演するなど、幅広く活動している。

■3月30日「風とロック」出演 さいたまスーパーアリーナ

 乃木坂46は3月30日、さいたま市のさいたまスーパーアリーナで開催される大規模ライブ「風とロック さいしょでさいごのスーパーアリーナ〝FURUSATO〟」の初日昼公演に出演する。福島県会津若松市出身の山口隆さんがボーカル・ギターを務めるバンド「サンボマスター」と競演する。

 実行委の主催、福島民報社の特別協力。郡山市出身のクリエイティブディレクター箭内道彦さんが企画した。

 大規模ライブは3月31日までの2日間。両日とも昼夜2公演がある。開演は、初日昼公演が正午、夜(MAN WITH A MISSION、BRAHMAN、ACIDMAN出演)が午後4時55分。2日目昼(さだまさしさんら出演)が午前11時、夜(GLAY、怒髪天出演)が午後4時30分。

 チケットは2日4公演通し2万8871円、1日2公演1万5871円、1公演8871円。主要プレイガイドで1公演チケットの先行予約を受け付けている。問い合わせはSOGO TOKYOへ。

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