ギリシャ議会が同性婚を承認、異例の超党派で結束

Renee Maltezou

[アテネ 15日 ロイター] - ギリシャ議会は15日、宗教によらない人前式での同性婚を認める法案を可決した。正教国としては異例で、同性カップルによる養子縁組も可能となる。LGBT(性的少数者)の権利支持者に画期的な勝利で、議会傍聴者やアテネの路上に集まった数十人が歓声を挙げた。

政府提出法案で、議会定数300人のうち176人が賛成票を投じた。官報に掲載されると法律として成立する。

審議過程では緊迫した。ミツォタキス首相が率いる中道右派の与党、新民主主義党(ND)の議員の一部は棄権または反対票を投じた。ただ、左派の野党の支持が堅かった上、異例の超党派で結束したことから法案は議会を通過した。

最近の世論調査では、ギリシャ世論は分かれている。影響力の強い正教会は同性愛が罪であると強く反対し、LGBT支持者は大勢がこの法案では不十分と考えている。

LGBTカップルが生殖補助医療を利用する際の障害は残った。代理出産もLGBT個人には適用されないが、海外でその方法で既に誕生した子どもは認められる。

同性婚合法化について極右政党議員は「反キリスト教的」と呼び、国益を損なうと批判し、与党所属のサマラス元首相は「同性カップルの結婚は(中略)人権ではない」と述べた。

ギリシャ・トランスジェンダー支援協会のエルミナ・パパディマさんは「ギリシャ国民として誇らしい。(反対派の)考え方は変わると思う。待たなければならないが、法律が助けになると思う」と語った。

ギリシャのLGBT活動家は過去数十年間、教会や右派政治家に逆らいながら変化を求めてきた。2008年にレズビアンとゲイのカップルがそれぞれ法律を無視してティロス島で結婚式を挙げたが、後に最高裁判所が結婚を取り消した。

しかし、ここ数年でいくつかの進展があった。15年に同性パートナーシップが容認され、17年には性自認が法的に認められた。22年には性的指向の抑圧を目的とした未成年者への転換療法が禁止となった。

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