伊丹市バスの54歳乗務員、運賃箱を不正操作し現金300万円着服 乗客が目撃し発覚「生活費に充てた」 懲戒免職処分に 兵庫

乗務員による運賃着服があった伊丹市バス=伊丹市広畑3

 兵庫県伊丹市交通局は16日、運賃箱を不正に操作し、現金約300万円を着服したとして、市バス乗務員で、同局運輸サービス課の男性職員(54)を懲戒免職処分にしたと発表した。処分は15日付。

 同市バスは全路線定額運賃(大人210円、子ども110円)で先払い制。乗客が支払った現金や回数券は投入箱からベルトで下の金庫に運ばれるが、職員は異物混入などの際にベルトを止めシャッターを下ろすボタンを、不正に操作。投入口に残った現金を制服のポケットに入れるなどして着服していた。

 今年1月27日に乗客から「運転手が硬貨を拾い上げて別の場所に置いたようだ」と交通局に通報があり、発覚。職員が残していたメモとドライブレコーダーの映像のほか、同路線・同時間帯の運賃収入との差額から被害額を割り出した。

 着服額は2020年10月ごろから約3年4カ月で297万5877円、遅延損害金を合わせた被害総額は311万3603円に上った。乗客が少ない路線を中心に、1万円近く着服した日もあったという。今月13日までに全額を弁済した。

 職員は市交通局の調査に対し、「ベルトの停止操作をしていて思いついた。生活費に充てた」と説明。「罪悪感があり、途中から(着服日時や人数を)記録しておかないといけないと思った」と話したという。

 同市交通局は16日に開いた会見で「市民の信頼を裏切ることになり、深くおわび申し上げる。服務規律の順守を一層徹底していく」と謝罪。管理監督責任として自動車運送事業管理者ら5人を訓告や厳重注意とした。一方、「社会的制裁を受けている」などとして職員の刑事告訴は見送った。(広畑千春)

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