栃木の養豚場で豚熱 22年7月以来、県内5例目 1100頭殺処分へ

 栃木県は16日、栃木市の養豚場1カ所で豚熱(CSF)の感染を確認したと発表した。約1100頭を飼育しており、県は2週間ほどかけて全頭殺処分や消毒など防疫措置に取り組む。県内養豚場での豚熱発生は5例目。2022年7月に那須烏山市の大規模農場で豚熱が発生して以降、各農場で対策を強化していた中での発生となった。

 県によると、15日午後6時ごろ、養豚場から子豚の食欲がないなど「様子がおかしい」と県南家畜保健衛生所に通報があった。16日未明に県の検査で陽性とみられる結果が出て、同日夕、国の遺伝子解析で豚熱と判定された。

 殺処分するのは、養豚場の全頭と食肉処理施設に出荷された26頭。同施設では他の豚と分離されていたため、影響はない。県は3~4日かけて殺処分した後、清掃や消毒を実施する。

 養豚場の半径10キロ以内に複数の養豚場があるが、いずれも異常はないという。県は県内全養豚場でワクチン接種を実施しているため、移動制限も実施しない。

 県は定期的に農場への立ち入り検査を行うなど、養豚関係者とともに感染防止対策を徹底してきた。今回の養豚場は昨年12月に検査し、衛生管理に問題はなかった。ワクチン接種も適切に行われていたという。

 今後、国は感染経路など原因を調べる方針。

 県は16日、対策本部を設置。福田富一(ふくだとみかず)知事は記者会見で「農場主が懸命に対策を取ってきた中で発生し、ショックを受けている。各農場には飼養衛生管理基準の徹底を改めて求め、県も予防措置を図っていきたい」と述べた。

 豚熱は人には感染せず、感染した豚の肉を食べても人体に影響はない。

豚熱発生を受け記者会見する福田知事=16日午後、県庁
栃木県庁

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