「もう女子サッカーが終わるくらいの覚悟でした」アテネ五輪出場を決めた北朝鮮戦から20年。宮本ともみコーチが実感、今も受け継がれるなでしこJの“魂”

今から20年前の2004年4月。国立競技場で行なわれたアテネ五輪のアジア最終予選・北朝鮮戦を戦ったのが、現在なでしこジャパンのコーチを務める宮本ともみ氏だ。

3万人を超える大観衆が訪れた聖地国立で、日本は北朝鮮に3-0の完勝を収め、ノックアウトステージで決勝進出を果たし、本大会への切符を獲得。宮本コーチは「自分が現役でやってきたなかで、一番印象的な試合だし、その試合に勝てたことで、自分が今ここにいるっていうぐらい、自分にとっては大きな試合でした」と当時を振り返った。

その前の2000年シドニー大会では、アジア予選のグループステージで敗退。五輪出場を逃した悔しさを原動力に、その4年後は「責任をしっかり果たしたい」との思いで戦い、勝利を手繰り寄せた。

「自分自身は、アテネの前のシドニーオリンピックを自分たちの責任で(本大会出場を)逃したのを負い目に感じていたし、その当時の選手もかなり残っていたので、責任をしっかり果たしたいという思いがあった。しっかり今後の女子サッカーに繋げられるように、本当にアテネオリンピックを逃したら、もう女子サッカーが終わるくらいの覚悟でした」

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あれから約20年もの年月が経ち、なでしこジャパンはパリ五輪の出場権を懸けた北朝鮮との2連戦に挑む。

宮本コーチは日本を代表する覚悟や結束力は、当時の日本女子代表から、現在のなでしこジャパンに受け継がれていると語る。

「(今の選手は)置かれている環境や育ってきた環境がまったく違うので、違いはすごく感じています。ただ、日の丸を背負って戦うということの重要さは、ずっと受け継がれている。自分自身がスタッフの立場で関わっているなかでも、すごく感じることが多いです。

チーム愛や結束力は自分が選手の時もものすごく強かったし、今も感じます。今回、パリに行くことが、日本の女子サッカーをさらに良くするということは選手たちも分かっていると思います」

なでしこジャパンは長年引き継がれてきた“魂”を胸に、2月24日にアウェー(会場未定)で第1戦、28日にホーム(国立競技場)で第2戦を戦う。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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