ガソリン補助金など、政府・与党内に延長論=関係筋

Yoshifumi Takemoto

[東京 16日 ロイター] - 4月末以降の取り扱いが未定となっているガソリン補助金(激変緩和措置)について、与党内で延長論が浮上、今後政府内で本格的に検討される見通しとなった。少なくとも夏まで延長する可能性がある。複数の政府・与党関係者が明らかにした。電力・ガス補助金の取り扱いも焦点で、延長幅や規模を議論する。

ガソリン補助金は政府が2022年初めに導入し、累次にわたり延長してきた。政府内では「市場で決まるべき価格を固定する異例な政策であり、なるべく早くやめたい」(経済産業省)との声もある。一方与党内では「裏金問題で自民党に対する世論は極めて厳しく、本来は出口を探るべきながら、タイミングを誤ると党が危うい」(自民中堅)などの延長不可避論が主流だ。

財務省内でも、与党支持率が低迷しており、年内に衆院選の可能性もあるなかで「延長は不可避」(幹部)との声が出ている。

鈴木俊一財務相は16日の衆院財務金融委員会で「4月末から先の出口について、いま決まっているものはない。そのときのエネルギー価格の状況やさまざまな状況を考えて4月以降のことを決めていく」と述べた。

岸田文雄首相は昨年10月に、年末に終了する予定だったガソリン・電力・ガス補助金を春まで延長する方針を打ち出した。電力・ガスについては5月以降、補助金が減額される方針となっているが、ガソリンについては5月以降の取り扱いが示されていない。昨年末の時点で、ガソリン課税を減税するトリガー条項の発動を主張する国民民主党の意向に岸田政権として配慮を示した格好だ。しかし今月6日に首相がトリガー条項の発動に慎重姿勢を改めて示したことから、補助金延長が議論の主流となっている。

ガソリン・電力・ガス補助金の延長について、現時点では「全く本格的な議論は始まっていない」(経産省・財務省・内閣府)という。ガソリン補助金はすでに6兆円以上が投じられ、自民党内にも「脱化石燃料の観点から疑問」(閣僚経験者)との声がある。「延長と同時に出口戦略も描けるのが望ましい」(自民中堅)との指摘もあり、補助金を打ち切るなら電力需要が少ない秋が最適だとして、「最低限夏まで延長する可能性はある」(政府関係者)という。

現状の補助金制度は、ガソリンについて全国平均価格が1リットル175円となるように設定している。電気料金は家庭用低圧電力で1kWh当たり3.5円、都市ガス料金は1立方メートル当たり15円補助している。

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