鹿屋に再び無人機 海自、4月から試験運用 警戒監視体制強化へ検証

報道陣に公開された海上保安庁の無人機MQ9B=青森県の海上自衛隊八戸航空基地

 木原稔防衛相は16日の閣議後会見で、海上自衛隊が昨年5月から八戸航空基地(青森)で試験運用している大型無人機シーガーディアン(MQ9B)1機について、4月から鹿屋航空基地(鹿屋市)でも試験運用すると明らかにした。

 鹿屋には昨年11月まで約1年間、米空軍の無人機MQ9が8機配備され、米軍嘉手納基地(沖縄)に移駐した。東シナ海で進出を強める中国を念頭に警戒監視体制を改めて強め、海自無人機の本格導入に向けた検証を進める。九州防衛局職員が15日、鹿屋市に伝え、鹿児島県には資料を送った。

 計画では4~6月に八戸-鹿屋の離着陸を3回程度、7~9月は八戸から鹿屋を経由し東シナ海で模擬的な警戒監視活動を3回程度実施する。鹿屋のP1哨戒機が行っている活動を無人機で代替できるか確かめる。操縦はいずれも衛星通信を使い、鹿屋に新たなコントロール施設は設置しない。

 MQ9BはMQ9の派生型で、海上監視に特化する。全長11.4メートル。主翼幅は24メートルでMQ9の幅より約4メートル長い。両機とも横風には弱いとされる。

 米空軍のMQ9は昨年8月、鹿屋で滑走路を外れるオーバーランを起こし、海上保安庁と海自で試験運用するMQ9Bも飛行を一時止めた。防衛省は事故原因を明らかにしていない。

 木原氏は16日の会見でMQ9とMQ9Bは別の機種と説明。「(オーバーラン)事象発生後に追加点検も行い、異常がないことを確認できている」と述べた。製造元の米ジェネラル・アトミクス社からはMQ9Bの運用開始以降、最も深刻と分類される「クラスA」の事故は起きていないとの報告も受けたという。

 中西茂市長は「昨年の米軍駐留とは性質が違うが、『無人機』という意味で間違いなく市民の関心事。安全性を含め、丁寧な説明を求めたい」と話した。市のホームページに防衛省の説明資料を公開した。

 塩田康一知事は16日付で海上幕僚長宛てに、住民の安心安全の確保を求める要請書を提出。運用に関する情報提供のほか、事件・事故が発生した際は国の責任で迅速に対処することなどを要請した。

 MQ9Bは、海保が2022年10月、八戸で試験運用を始め、海自も続いた。海保の拠点は北九州空港(福岡)に移る予定。

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