「中島」が結んだ縁再び 愛媛の元姉妹町からイヨカン

イヨカンを受け取り笑顔を見せる住民=七尾市中島中

 能登半島地震で被災した七尾市中島地区の子どもたちに16日、愛媛県から届いた特産のイヨカンが配られた。七尾の旧中島町と愛媛の旧中島町(現松山市)は1989年に姉妹町提携を結んでおり、愛媛が台風被害を受けた際の石川からの支援の恩返しとして地元農家が郵送。両町の交流は合併に伴って途絶えていたが、再びつながった同じ地名の縁に笑顔が広がった。

  ●子どもらに配布

 愛媛県の中島は、松山市の本土側から北西に約15キロに位置する離島。かんきつ類の栽培が盛んで、離島における果樹栽培の生産量は国内でも有数という。

 七尾の旧中島町とは86年から小学生を相互に訪問させるなどの交流がスタート。3年後に姉妹町となった後も、双方のイベントに参加するなど友好を深めた。七尾四大祭りの一つ「お熊甲祭(くまかぶとまつり)」での猿田彦の舞を愛媛で披露したこともあったが、七尾市となった2004年以降は交流が途切れていた。

 今回、能登の被害を知ったミカン農家の有志「中島小浜みかん会」が、かつての台風被害で受けた支援を覚えており、「気持ちを送りたい」と松山市役所中島支所を通じて七尾市中島地域づくり協議会に連絡。9日にイヨカン約300キロを郵送で届けた。

 イヨカンは保育園、小中学校に配布され、中島中3年で生徒会長の前田将汰さん(15)は「姉妹町だったと祖父から聞いており、送ってもらえてうれしい。食べるのが楽しみ」と声を弾ませた。

 協議会は今後、交流の再開も視野に入れており、杉木勉会長(66)は「20年交流がなかったので、覚えていてくれてありがたい。これを機に交流を続けたい」と話した。

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