国道359号「仮道路早く」 小矢部・内山の大動脈寸断 高齢者8割、救急・火災に懸念

崩落現場近くに応急的に設けられた道路。道幅が狭く対面通行は難しい=小矢部市内山

 能登半島地震で大規模崩落し、道路が寸断した小矢部市内山の国道359号で、地元住民から車が自由に通行できる仮道路の早期整備を求める声が高まっている。小矢部消防署によると、現状では緊急車両が内山地区に着くまで地震前の約1.5倍の時間を要する。同地区は70歳以上の高齢者が8割以上を占めており、火災や救急搬送時の遅れを心配する声が大きい。現時点で完全復旧のめどは立っておらず、不便で不安な生活が続いている。

 元日の大きな揺れで、国道359号は約200メートルにわたり崩れ落ち、市南部の五郎丸から石川県境までの約4キロが通行止めとなっている。現在、ドライバーが富山―石川間を行き来するには国道8号や国道304号へ迂回(うかい)する必要がある。

  ●到着に1.5倍

 小矢部消防署は現在、火災出動や救急搬送で内山地区に到着するには30分程度を要するとみている。地震前と比べて約1.5倍の時間がかかることになる。

 元小矢部消防署長の松嘉一さん(61)=末友=は「町内は細く曲がりくねった道が多い。運転に注意が必要で、通行可能な道から少しでも速く到着するしかない」と語る。内山で暮らす主婦(74)は「火災があったら間に合わないかもしれない」と不安がる。

 内山地区には15世帯約30人が住んでおり、デイサービスを利用するために車での送迎が必要な住民もいる。父親の世話で内山を訪れる森田賢治さん(61)=同市泉町=は「ボーリング調査よりも、一日も早く道を整えてほしい」と嘆いた。

 仕事で富山、石川県を行き来するドライバーへの影響も大きい。高岡市のトラック運転手高島功一郎さん(48)は「359号を当たり前のように利用していたので有り難みが分かる。取引相手に荷物を届ける時間が読みにくくなった」と頭を抱えている。

 1月下旬に行われた国土交通省の災害緊急調査では、国道359号の復旧には、まず山側に仮道路を設け、周辺の盛り土でボーリング調査を行う必要があるとされ、復旧に時間がかかる見通しが示された。

 国道359号を管理する県は1月中旬、国道の仮道路が完成するまでの応急的な道を設けた。原則として住民が利用している。道幅は狭く曲がりくねっているため、対面通行は難しく、日常的に利用するには不便という。齊藤清区長(79)は「仮の仮の道路ができたのは有り難いが、不測の事態が発生した後では遅い。生活道路に使える道を早く作ってほしい」と話した。

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