2019年の台風19号で甚大な浸水被害を受けた栃木県那須烏山市下境の那珂川左岸で、開口部を設けた堤防「霞堤」の建設工事が進んでいる。一部工区では高さを増した堤防が姿を現した。
既存の堤防計1.8キロを5~6メートルかさ上げし、下流に既存の堤防を開口部として残す計画。工事を担う国土交通省常陸河川国道事務所によると、増水時の上流からの越水を防ぎ、土地の傾斜で下流からの浸水は緩やかになるという。
16日は那珂川左岸の林を挟み約700メートル離れた2カ所で、堤防斜面への芝張りや盛り土が行われた。3月末までに新たな堤防計220メートルが整備される。
工事は昨年10月に着工。国は当初、24年度の完成を目指していたが、用地買収の遅れや新型コロナウイルスの影響に伴い、事業期間を26年度に延期した。同事務所の伊藤克雄(いとうかつお)副所長は「堤防建設には住民の方々の理解が不可欠。引き続き丁寧な説明を続けたい」と話した。