神戸徳洲会病院、薬剤の追加を怠り患者が死亡 警告音が鳴り、家族が訴えるも対応されず

神戸徳洲会病院

 神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で1月、投与していた薬剤が切れた後も追加されず、入院中の90代男性患者が死亡していたことが16日、関係者への取材で分かった。追加分の薬剤の準備を怠っていたとして、病院は「死期を早めた可能性がある」と遺族に謝罪した。神戸市は安全管理体制に不備があったとみて調べている。

 関係者によると、1月19日午前、90代男性が市内の福祉施設から心肺停止状態で搬送された。男性は治療後、心拍が再開して病室に移り、管を通して血圧を上昇させる薬剤を投与されたが、同日夜、薬剤が切れた直後に死亡したという。

 薬剤の残量が残り少なくなったことを知らせる警告音が鳴り、家族が職員に訴えたが、追加の薬剤が用意されていなかった。看護師が慌てて手配したが、間に合わなかったという。病院は神戸市に報告し、院内の事故調査委員会で原因を調べている。

 同病院では昨年6月、カテーテル治療や検査後などに複数の患者が死亡していたことが発覚。同市は行政指導を行ったが、その後の調査で9月、入院していた糖尿病患者が適切な治療を受けられず死亡していたことが判明した。

 神戸市は同病院に対し、医療法に基づく改善命令を今年1月に出す方針を固めていたが、薬剤の追加準備をしていなかった事例が分かり、再調査に入った。今回のケースを含め、近く改善命令を出す予定。(竜門和諒)

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