被災地でいまだ続く断水…“水道管の耐震化”防災県・静岡は進んでいるのか

能登半島地震から1か月半が過ぎましたが、被災地では、いまも断水が続いています。地中に網の目のように広がる水道管を修復するのは、簡単ではありません。では、南海トラフ巨大地震が想定される静岡県では、水道管の耐震化はどこまで進んでいるのでしょうか。

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静岡市葵区門屋にある浄水場前の工事現場です。全国の自治体がいま急ピッチで進めているのは、水道管の「幹」にあたる基幹管路の耐震化です。

<静岡市上下水道局 市川拓也係長>
「この工事は、門屋浄水場から松富配水池までの送水管の耐震化を図る工事となっております」

水道の仕組みです。まず、川の水を浄水場に引き、浄水場できれいになった水が配水場に送られます。配水場から住宅街まで届き、それぞれの家庭に行き渡ります。「基幹管路」はまさに水道の要なのです。

基幹管路の多くが主要道路の地下を通っています。損傷すると、断水が広範囲に及ぶため、耐震化が急務です。

静岡市では、約320キロの基幹管路のうち、2022年度末で41.5%がすでに、地震に強い管に置き換わっています。南海トラフ巨大地震が想定される静岡県、備えは着実に進んでいます。

では、被災地ではどうだったのか。断水が続く中、頼りにされたのが給水車です。
静岡市上下水道局の杉山優耶さんは地震発生の2週間後に石川入りし、各地の給水拠点に応急的に設置したタンクに、給水車から水を補給する役割でした。しかし…。

<静岡市上下水道局 杉山優耶さん>
「現地の道路状況が酷くて、至る所でひび割れや陥没があり、通行不可能な道が多かったものですから、能登の方では雪が降り積もっている状態ですので、身の危険を感じることが多くありました」

給水拠点までたどり着けないこともあったといいます。

実は、給水車を待たなくても水を得る手段があります。給水拠点となる小・中学校や公園の地下に埋まっている「耐震性貯水槽」です。静岡市内には42基あります。水道管とつながっていて、常にきれいな水が循環し100トンの水を貯めています。

この水をどう使うかというと、倉庫の中に、貯水槽につながったポンプと給水スタンドがあります。地下からくみ上げられた水がホースを伝ってスタンドに供給され、蛇口をひねると、水が出ます。2022年の台風15号で断水が起きた時にも住民が給水に訪れました。

<興津中町自治会 高山茂宏会長>
「興津地区全体で利用する(人口は)1万1,000人くらい。静岡市の想定ですと、1人1日3リットル、約1万人分ですと3日分ということになります。3日間でも各家庭で1人3リットルずつ確保できるということは、本当に喜ばしいことだと思います」

地震が起きても、なるべく断水を防ぐために水道管の耐震化は急務ですが、私たち自身の備えも大切です。

<静岡市水道管路課 杉山優耶さん>
「公助は結局、実際に災害が起こった際にはなかなか助けにならない節がありますので、自分たちで水の備蓄をするのと同時に、自分が住んでいる地域に、耐震性貯水槽がどこにあるのかですとか、給水拠点がどこになるのかというのは把握していただければ、災害時には力になるのかなと」

興津中町の自治会では、年1回の防災訓練で、耐震性貯水槽の使い方を住民に知らせています。発災後は手動ポンプでくみ上げなければならないそうで、水を取りに来た人が順番でくみ上げに協力するようルールづくりも進めるそうです。

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