米軍の次は自衛隊…海自鹿屋基地で無人機運用へ、反対派市民は「既定路線だったのか」

報道陣に公開された海上保安庁の無人機MQ9B=2022年11月、青森県の海上自衛隊八戸航空基地

 大型無人機が再び鹿児島の空を飛ぶ。海上自衛隊の無人機が鹿屋航空基地で試験運用する計画が示された16日、地元には「既定路線のよう」と困惑が広がった。昨年8月の米軍無人機オーバーランの原因が不明なままの再来に、安全性の説明を求める声が相次ぐ。

 15日午前11時ごろ、九州防衛局の遠藤敦志企画部長ら3人が鹿屋市役所を訪ね、計画を伝えた。「まだ広報できる段階ではない」と念を押されたという。市政策推進課の松矢功一郎課長は「国から市民へ周知するよう要請した」と話す。

 鹿屋への米軍無人機部隊の一時展開は、全国の自衛隊基地で初の試みだった。騒音などは目立たなかった一方、オーバーランを巡る説明不足に不満を持つ市民は多い。北田町で電器店を営む井之上宏幸さん(57)は「情報が不透明だと安全性を疑う。機密を教えてくれとは言わない。地域の安全に関わる情報は積極的に示して」と注文した。

 米軍駐留に反対した市民団体代表の眞島幸則さん(75)は「配備実績が既にあり地元の抵抗感は薄いのでは。自衛隊無人機の運用本格化までが既定路線だったと思えてならない」と困惑する。基地では2025年度以降、総額700億円規模の改修も予定される。「市民が無関心だと知らないうちに基地が要塞(ようさい)化しかねない。注視したい」と語った。

 政府が22年12月に閣議決定した「防衛力整備計画」は、おおむね10年以内に海自が無人機部隊を2個持つと明記する。鹿屋で群司令を務めた後、沖縄、青森で部隊を率いた元海将補の中村敏弘さん(59)=東京都=は「24時間運用でき、南西諸島を見渡せる鹿屋の重要性は増している。今後、無人機部隊を置くのも自然な流れ。運用上のメリットは大きく、丁寧な説明が欠かせない」と話した。

無人機を地上で操縦するコックピット。上部の壁にカメラが写す画像などのモニターがある

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