「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。第24回は【イタリアンパセリ】です。
本連載の他、桐原春子さんの記事はをご覧ください。
料理に緑を添える【イタリアンパセリ】
繊細な草姿と明るい葉色がさわやかなイタリアンパセリ。いろいろな料理に美しい緑を添えてくれるハーブですが、より積極的に活用して、楽しみを広げてみませんか。
別名/パセリプレーン、フレンチパセリ
科名/セリ科
性質/二年草
草丈/20~100cm
育てるのもラクな平葉系のパセリ
イタリアンパセリとは、葉に切れ込みが入る平葉のパセリのこと。
「日本ではパセリというと、葉の縮れたモスカールドパセリをさすことが多かったのですが、最近はイタリアンパセリも普通に見かけるようになりました。パセリは地中海東部沿岸が原産地で、野生種は平らな葉のものだったそうです。やがて縮れたものができ、広く使われるようになったのです」と平葉のほうが古いことを教えてくれた桐原春子さん。
利用法は縮れ葉のパセリと同じで、生のままサラダ、スープなどに入れたり、ブーケガルニの材料にしたり。油で揚げてもおいしくいただけます。
葉、根、茎にはビタミンA・B・Cが豊富に含まれる他、鉄分やカルシウムなども含まれ、強壮剤として使われることもあるといいます。
「イタリアンパセリは乾燥保存ができますが、温室栽培も盛んでスーパーには一年中並んでいます。自分で容易に育てられるので、フレッシュなものを利用したいですね。私は鉢植えにして、必要なときにちょこっとつまんで使っています。料理に美しい緑が加わり、とても気に入っています」
クセが少なく、他の食材とよく調和
風味は縮れ葉のパセリよりマイルドで、パセリが苦手な人でも食べやすく、他のハーブや個性的な味の食材にもマッチします。
「料理に使うのが一般的ですが、モイストポプリや、草丈があるのでブーケに入れても素敵です」
葉が茂ったら外側から順次、茎ごと切ると再び芽が出てきます。性質は丈夫で、病気にもかかりにくいそう。
「日当たりのよい場所で育て、乾燥が続く夏場は十分に水を与えて。翌年も育つ二年草なので、冬は鉢を暖かい軒下か室内に取り込みます」
鉢植えでも大きくきれいに茂る
プラスチック鉢に植えたイタリアンパセリを、ブリキの器に入れておしゃれに。鉢植えでもよく育ち、ふんわりと形よく茂って目も楽しませてくれます。
二年生植物(二年草)なので、発芽後2年目に白〜黄色の可憐な花を咲かせます。
鉢は戸外で管理するのが基本ですが、料理にさっと利用できるようキッチンの近くに置くのがおすすめ。
活用アイデア① イタリアンパセリのクリームチーズペースト
クリームチーズに鮮やかな緑のイタリアンパセリを加えた、見た目も美しいペースト。クラッカーに塗ったり、スライスしたトマトにトッピングしたりするとおしゃれなオードブルに。
塩はチーズに含まれる塩分によって調整を。好みでレモンなど柑橘類の皮のみじん切りや果汁を少しプラスすると、さわやかな風味がアップします。
奥に飾ったのは、イタリアンパセリやクレソンなど、サラダハーブをメインに束ねたブーケ。
作り方(作りやすい分量)
❶イタリアンパセリ10本程度の葉、茎をみじん切りにする(茎がかたい場合は取り除く)。パセリ少々をみじん切りにする。
❷クリームチーズ100gをボウルに入れ、①、塩とこしょう各少々を加えてスプーンで混ぜる。
活用アイデア② イタリアンパセリソースのパスタ
イタリアンパセリを料理の主役として利用したいとき、こんなソースを作ってみてはいかが? イタリアンパセリはアンチョビーや松の実などの個性的な風味の食材との相性が良好で、細めのパスタにからんだソースは絶妙なおいしさです。
緑色のソースというとバジルソースが定番ですが、すぐに黒ずむことだけが残念。その点、こちらは冷蔵庫や冷凍庫でしばらく保存しても色はあせないのがうれしい。たっぷり作って味わいましょう。
撮影/川部米応
※この記事は「ゆうゆう」2021年3月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
監修者
園芸研究家 桐原春子
英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。