九州電力玄海原発の事故備え原子力防災訓練 医療救護手順を確認

放射線計測器で避難者の身体を検査する係員=波佐見町体育センター

 長崎県などは17日、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の災害を想定した原子力防災訓練をした。国や近県、自衛隊など関係機関との情報共有や、避難所の受け入れ手順などを確認した。
 訓練は2002年度から開いている。本年度は震度6弱の地震で同原発4号機の炉心冷却機能が喪失。放射性物質が施設外に漏れ、国が原発から半径30キロ圏内(松浦、佐世保、平戸、壱岐各市)に避難指示を出したとの想定で実施した。
 住民や自治体職員ら約1600人が参加。長崎県災害対策本部では、国や近県とテレビ会議で避難状況などを共有。大石賢吾知事は関係4市長に「住民への的確な情報伝達を」と指示した。
 東彼波佐見町折敷瀬郷の町体育センターには、松浦市鷹島町と福島町から約80人が避難した。自衛隊員や自治体職員らが衣服や車両に放射性物質の付着がないか調べ、保健師の問診など医療救護手順を確認。大石知事も視察した。
 同市立鷹島中2年の柴山琉成さんは「(内部被ばくを予防・低減する)安定ヨウ素剤が大切だと分かった。自宅の置き場所を確認したい」。能登半島地震が記憶に新しいという同市福島町の自営業、徳田芳朗さん(72)は「いざ避難となると、災害への備えが必要だと改めて実感」と話した。
 平戸市ではペット同伴者の訓練もあった。

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