能登半島地震の被災地を支援しようと、福井県南越前町の道の駅「南えちぜん山海里」は、能登地方の特産品や土産物を販売するコーナーを設置した。同じ道の駅で、被災した「のと千里浜」(石川県羽咋市)の商品を中心に、特産の菓子や地酒など約20品目を販売。「少しでも経済を動かし、活気を戻すことにつなげたい」とPRに力を注いでいる。
山海里を運営するレストラン南条(本社・南越前町牧谷)は2021年10月のオープン前から、道の駅の運営や売り場づくりなどの面で、のと千里浜に協力を仰いでいた。古澤豊一駅長(67)は当時、何度も能登に足を運び「親身なアドバイスをもらった」と感謝する。
のと千里浜は羽咋市の第三セクター羽咋まちづくりが運営。支配人の岩崎誠さん(50)によると、元日は午後3時までの時短営業で、閉店後、社員らで初詣に出掛けた帰りに地震が襲った。
店内は「ぐちゃぐちゃになった」が、復旧を急ぎ1月3日に営業再開。井戸水でトイレを動かし、在庫の食料品を販売して救助救援に向かう関係者の力となった。
他方、能登地方には、のと千里浜以北に17の道の駅があるが、いまだほとんどが休業中という。
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山海里の特設コーナーには、「気持ちだけでも能登を応援したい」(越前市・女性)といった思いで、多くの客が立ち寄っている。
販売スタッフの女性によると、一番人気は能登産のサツマイモ「紅はるか」を使ったチップス。羽咋まちづくりが自社で加工する商品で「食べ始めると止まらない」という。
郷土菓子の「おだまき」は、米粉を練り混ぜた生地であんこを包んだ三角形の和菓子。能登産米を使った純米酒や、休館中の「のとじま水族館」(七尾市)で、在庫となっていた土産品の菓子なども並ぶ。
これらの商品は、道の駅に一般的な「委託販売」ではなく、販売元の収入に直結する「買い取り」の形で仕入れている。売り場は当面開設する予定で、在庫や売り先に困っている能登地方の他の道の駅などからも随時、入荷したいとしている。古澤駅長は「被災地を思うと心が痛むが、売ることで、買ってもらうことで支援につなげたい」と話していた。