「彼は良い人だよ」ナダルがジョコビッチの人間性について論評。「過ちも犯すが見た目よりずっと優れている」<SMASH>

男子テニス元世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン/現646位/37歳)が母国メディア『El objetivo』のインタビューに登場。その中で長年しのぎを削ってきた現世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/36歳)に対し、「彼は史上最高の選手だ」と称賛の言葉を口にした。

テニス界の“ビッグ3”の一角として絶大な人気とカリスマ性を兼ね備え、ツアーでは実に60度近い対戦回数を誇る両者。共に世界のトップで切磋琢磨してきた中で、ナダルはメディアが作り上げてきたジョコビッチの“虚像”に違和感を抱いているとし、未だに第一線で輝きを放ち続ける宿命のライバルをこう評した。

「彼のイメージは実際の彼よりも悪くなってしまっている。彼は良い人だよ。過ちも犯すけど、見た目よりもずっと優れた人物なんだ。イライラしてラケットを壊したとしても、次のポイントでは切り替えて100パーセントの力を発揮する。だからこそ彼は我々のスポーツの歴史の中で最も成功した選手になった。数字がそれを物語っている。彼は史上最高のプレーヤーだ」
続いてナダルはビッグ3のもう1人の盟友ロジャー・フェデラー(スイス/元1位/22年に引退)にも触れ、常に大きなプレッシャーと向き合いながら3人がお互いを高め合っていたと回顧。その上でかけがえのない好敵手たちの存在の重要性を次のように語った。

「僕たちはキャリアのほとんどを共有し、僕は非常に若くしてその立場に立った。その時のロジャーは全盛期だった。(もちろん)ロジャーだけではなく、ノバクも含めて僕らはお互いに多くのことで支え合い、多くのものを得てきた。失敗はできないとわかっていた中で、僕らには改善方法を知るための明確な道筋が示されていた」

最高峰の四大大会でそれぞれが20勝以上を挙げるなど、幾多の輝かしい功績を残してきた伝説の3巨頭。ここ最近はナダルもケガに苦しんでいることもあってジョコビッチの孤軍奮闘が続いているが、その今の状況が寂しいと感じるファンは多いのではないだろうか。

いずれは共に“ビッグ4”と呼ばれたアンディ・マリー(イギリス/元1位/現50位)も交えて、彼らが和やかに対談したりコートで打ち合ったりする姿を見てみたいものだ。

文●中村光佑

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