「ケインが去って、より怖いチームに」英国人記者がトッテナムをそう評価する理由。大歓声を浴びるソン・フンミンは「まるでメッシのようだ」【現地発】

2月17日、プレミアリーグ第25節トッテナム対ウォルバーハンプトンの取材のためにトッテナム・ホットスパー・スタジアムを訪れた。

ここ数年、トッテナムの取材に行った際には、ファンが着ているシャツがハリー・ケインとソン・フンミンにほぼ二分されている光景を目にしてきた。そして今日、スタジアムに向かう地下鉄の中で、ソン・フンミンのシャツを着ている人が何人いたかは数え切れなかった。

絶対的エースだったハリー・ケインがチームを去ってからトッテナムの取材するのは初めてだ。世界最高のストライカーを失った穴をどのように埋めているのか興味があった。

今冬、トッテナムはケインと同じポジションでプレーするティモ・ヴェルナーと契約した。ヴェルナーがチームに何を提供できるかは時間が解決してくれるだろう。しかし、彼がケインの代わりになれるとは思えない。

また、昨年の夏にはジェームズ・マディソンが加入している。彼は優れた選手であり、大きな違いを作れる。前線の顔ぶれが変わったことで、リシャルリソンは自分の特長を発揮する機会が増えている。

今季から指揮を執るアンジェ・ポステコグルー監督もまた、トッテナムに限らずプレミアリーグ全体に新風を吹き込んでいる。

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今回のウルブス戦でスパーズは、ハーフタイム直前にジョアン・ゴメスに先制点を許した。後半開始直後にはデヤン・クルセフスキが同点弾を奪ったものの、63分に再びJ・ゴメスにゴールを決められて1-2の敗戦を喫した。

しかし試合中、ソン・フンミンがボールに触るたびに大きな歓声が上がっていた。これに私は、かつてリオネル・メッシを取材したときに見たファンのリアクションを思い出した。

そしてトッテナムのプレーには好感が持てる。以前までのケインに頼った攻撃手段だけではなく、今はいくつかのオプションを持っている。時間はかかるかもしれないが、長い目で見れば、これまでより怖いチームになりそうな予感がした。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

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